Android Application Award(A3) 2010 Springの「優秀賞」を受賞した「はてなモノリス」(はてなが開発)は、買い物、持ち物など「モノ」をどんどん記録するサービスである。AndroidとiPhoneというスマートフォンの利用者が対象だ。スマートフォンのカメラを使って、商品のバーコードを読み取り、特定の商品に関するコメントをWeb上のサービスに投稿し、共有する。同時にTwitterに投稿する機能も備える。買い物や持ち物の記録、それに読書メモなど、いろいろな使い方が可能だ。

スマートフォンのカメラでバーコードを読み取る
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コメントとともに投稿。Twitterへの投稿も可能
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同じモノへのみんなの投稿を一覧できる
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 今、位置情報など自分の情報を公開、共有する考え方を取り入れたサービスがいくつも登場している。一方、「はてなモノリス」は、スマートフォンのカメラを使って、「モノ」の商品コード(JANコード)をバーコードから取り込む。スマートフォンの利用法として位置情報の応用に注目が集まっている中で、それとは別に「商品情報の読み取り」に注目している所が目新しい。

 「はてなモノリス」は、実際に使ってみると、想像以上に投稿の敷居が低いサービスだ。バーコードで商品情報を取り込み、データベース(Amazonの商品データベースを利用している)から商品名を特定してくれる。投稿のスタイルも自由なので、「買った!」の一言でもいいし、コメントを考えて記入してもよい。このような自由さ、敷居の低さは、多くのユーザーが情報を共有するサービスでは重要となる。

 このサービスではWebとスマートフォン上のアプリが連携する。カメラを駆使する部分はアプリ、情報を閲覧する部分はWebだ。その切り換えをほとんど意識しなくてもすむように作られている。スマートフォン向けのサービスだからといって、すべてをアプリ上に作り込まなくてもよいという設計思想だ。

 私たちのライフスタイルでは、消費活動と、そのための情報収集とが大きな比重を占めている。「はてなモノリス」は、消費活動を記録し、共通の関心を持つ人と情報を共有するスタイルを提示する。授賞式の場で、審査員の林信行氏は「ライフログの一例であり、やがてライフスタイルを変えていく可能性がある」とこのサービスの意義を評価した。持ち主の行動に密着したスマートフォンならではのアプリ/サービスの一種といえる。

作者に聞く
はてな ディレクター 舘野祐一氏
はてなモノリス開発チーム(左から伊藤直也氏、渡辺博文氏、舘野祐一氏)と、審査員のITジャーナリスト林信行氏(右)[撮影:菊池くらげ]
はてなモノリス開発チーム(左から伊藤直也氏、渡辺博文氏、舘野祐一氏)と、審査員のITジャーナリスト林信行氏(右)[撮影:菊池くらげ]
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アプリ開発のきっかけは。

 身近にあるモノ(バーコード)で、他の人がそのモノについてどう感じたのか、手軽に共有できたら生活に楽しさが増すと思い、開発を始めました。

開発にあたって苦心された点は。

 どうやったらいろいろな人と“モノでつながってる感”が出せるのかに苦労しました。今は「モノ」ページから、自分が一度でも投稿したモノについてのコメントを手軽にチェックできるようにすることで、他の人がどう感じたか、すぐに分かるようになりました。

ユーザーへのメッセージを。

 自分が好きなモノとバーコードで他の人とつながることができる、新しい感覚のアプリです。ぜひ使ってみてくださいね。