会話と同様に、電子メールなどのビジネス文書でも、敬語を頻繁に利用します。今回は、正しい敬語について学習しましょう()。

(注)2007年に文化審議会から分類を5種類(尊敬語、謙譲語I、謙譲語II、丁寧語、美化語)とする指針が出されたが、ここでは尊敬語、謙譲語、丁寧語に分類する。

どこが問題?

 課長が存じ上げている、K社への提案書ですが…既に拝受されているかと存じます。つきましては…
 K社の山下様が私に「金曜日に日程変更は可能ですか?」と伺いました。
 部長が拝借なさったプロジェクターを戻される際には「貸出し表」にご記入ください。

ここが問題!謙譲語を尊敬語として使っている

 自分がへりくだるときに使う謙譲語を、相手を立てるときに使う尊敬語として誤って使っています。

これで解決!基本的な敬語は覚える

 基本的な敬語は覚えるしかありません。特に大切なのは「動詞」の敬語です。まずは、基本的な動詞の敬語を正確に覚えましょう。

表●基本的な動詞の敬語
動詞尊敬語謙譲語丁寧語
行くいらっしゃいます
おいでになります
参ります
伺います
行きます
来るいらっしゃいます
お見えになります
お越しになります
参ります来ます
見るご覧になります拝見いたします見ます
するなさいますいたしますします
いるいらっしゃいますおりますいます
食べる召し上がりますいただきます食べます
聞くお聞きになります伺います
承ります
聞きます
言うおっしゃいます申します
申し上げます
言います
思う思われます
お思いになります
存じます思います
帰るお帰りになります失礼いたします帰ります
会うお会いになりますお目にかかります会います
借りるお借りになります拝借します借ります
もらうお納めになりますいただきます
頂戴いたします
もらいます
尋ねるお尋ねになります
尋ねられます
伺う
お尋ねする
尋ねます
知るご存知(です)存じる
存じ上げる
知ります

 このほか、「拝受」「拝借」のように、「拝」がつく謙譲語があります。これもビジネス文書でよく使うので覚えておきましょう。

借りる → 拝借する
読む → 拝読する
受け取る → 拝受する
見る → 拝見する

変わった!

 課長がご存知のK社への提案書ですが…既にお受け取りになっているかと存じます。つきましては…

 K社の山下様が私に「金曜日に日程変更は可能ですか?」とお尋ねになりました。

 部長がお借りになったプロジェクターをお戻しいただく際には「貸出し表」にご記入ください。

 まずは、尊敬語と謙譲語の違いを明確に理解しましょう。その上で、迷ったときには元の動詞に立ち返ってみることです。

「お受け取りになる」 → 元の動詞は「受け取る」 → 受け取るのは課長だから尊敬語 → 「受け取る」の尊敬語は「お受け取りになる」でOK!

「存じます」 → 元の動詞は「思う」 → 受け取っていると思っているのは自分だから謙譲語 → 「思う」の謙譲語は「存じます」でOK!