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 本問題はスタティック・ルーティングの設定について尋ねている。スタティック・ルーティングは,ネットワーク管理者が自らルーティング・テーブルのエントリを作成する手法だ。作成したエントリはスタティック・ルートと呼ばれる。

 スタティック・ルーティングのエントリ作成には,「ip route」コマンドを使う。「ip route」の後に,あて先として指定するネットワークのアドレスとサブネット・マスク,続いてネクスト・ホップを入力する。

 この問題の場合は,ルーターXから見てネクスト・ホップになりそうなのは,「192.168.1.1」,「192.168.2.1」をそれぞれ割り当てられているルーター2台だ(図1)。このうち,パソコンBが接続するネットワーク「172.16.1.0/24」につながっているのは,「192.168.2.1」を割り当てられたルーターだ。従ってこちらがネクスト・ホップになる。

図1●「ip route」コマンドでスタティック・ルートを作成する<br>スタティック・ルーティングの設定をするには,ルーターのグローバル・コンフィグレーション・モードで「ip route」コマンドを実行すればよい。あて先ネットワーク,サブネット・マスク,ネクスト・ホップの順に指定する。
図1●「ip route」コマンドでスタティック・ルートを作成する
スタティック・ルーティングの設定をするには,ルーターのグローバル・コンフィグレーション・モードで「ip route」コマンドを実行すればよい。あて先ネットワーク,サブネット・マスク,ネクスト・ホップの順に指定する。
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 また,ネットワーク・アドレス「172.16.1.0/24」から,サブネット・マスクは「255.255.255.0」になるとわかる。以上を満たす解答を考えると,問題の正解は選択肢aだ。

 スタティック・ルーティングでは,ネットワークに障害が起こったり,構成に変更があったりすると,ネットワーク管理者はその都度スタティック・ルートを設定し直さなければならない。当然ながら,大規模ネットワークでは入力しなければならないルートの数が増える。そのため,スタティック・ルーティングを使うのはあまり現実的とはいえない。

 そこで考え出された手法がダイナミック・ルーティングだ。ダイナミック・ルーティングは,ルーター同士が自動で情報を交換し,ルーティング・テーブルを作成・管理するしくみである。

 ルーティング・テーブルが自動的に変更されるので,障害時に素早い経路切り替えが可能,大規模ネットワークの運用が簡単になるといった特徴が挙げられる。

 ダイナミック・ルーティングで情報の交換に使うプロトコルを「ルーティング・プロトコル」,ルーティング・プロトコルが自動的に作成するエントリを「ダイナミック・ルート」と呼ぶ。

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ルーティング編 第1回 ルーティングとは