取締役執行役員技術基盤本部長の成田隆志氏
取締役執行役員技術基盤本部長の成田隆志氏
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 「技術者は気ままに仕事できることが重要だ」。不動産情報サイトの「HOME'S(ホームズ)」や地域コミュニティーサイトの「Lococom(ロココム)」を運営するネクストでCIO(最高情報責任者)相当の役職を務める、取締役執行役員の成田隆志・技術基盤本部長はこう語る。ウェブサイトを開発する技術者が、自立して楽しく仕事できる環境を作ることを心がけている。

 新サービスを開発する際には、技術者と営業担当者が入り交じって議論を交わす光景が社内で頻繁に見られるという。「コミュニケーション力は技術者の採用基準の1つ」と成田執行役員は話す。もっとも多い20代~30代の社員が活発に議論することが、社内の活性化につながるのだ。

 成田執行役員が責任者を務める技術基盤本部は2010年4月に設立した新組織。HOME'SやLococomといったウェブサイトのインフラの運用を担う。4月まではバックオフィス業務のシステム化を担当していた。新技術の採用に積極的で「展示会に出向いて技術情報を収集することもある」という成田執行役員は社員から「生粋の技術屋」と慕われている。

 HOME'Sのスポンサーは全国各地の不動産会社だ。だが成田執行役員は「新しい広告を載せたいので、ウェブサイトのデザインを変えてほしい」と不動産会社から要望されても、拒否することがある。「消費者の目線でウェブサイトを作ることが大事。使い勝手を阻害する要望であれば営業担当者に『その要望は聞けない』と断る」。消費者の使い勝手が良くてページビューが伸びるサイトを作ることが、スポンサーにも貢献できる最善の方法だと考えているからだ。

 主力事業であるHOME'Sへのアクセスは右肩上がりで増え続けている。2010年3月末時点のHOME'Sのページビューは月間1億に上る。特に引越しシーズンの2~3月中旬はサーバーの負荷が通常時の2倍になるという。

 そこでサーバーのレスポンス向上と運用費用抑制を図って、仮想化技術の導入に2009年から着手した。仮想化技術を導入することには、システムの費用対効果向上だけでなく、技術者のモチベーションが向上する効果もあるという。 「手間のかかるサーバーの入れ替え作業が今回限りと思えば、自ずと作業の生産性が上がる」(成田執行役員)。サーバーの入れ替え作業は、OS(基本ソフト)やミドルウエアをハードウエアにインストールし、動作確認するなど面倒なもの。こうした作業を無くすことは、働きやすい環境作りにもつながる。

Profile of CIO
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・技術的な提案をする際は、分かりやすく伝えること、コスト比較だけの話にしないことを心がけています

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・ネットワークや業務システムなどの運用に際して専門技術者に作業を依頼すると、導入費用に比べて割高になることがあります。導入時の値引き分を運用段階のサービスで補填する仕組みになっているからだと思いますが、それまでの信頼関係が崩れてしまうため、そういったことは極力抑えていただけるとありがたいです

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞

◆最近読んだお薦めの本
・『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略 』 (クリス・アンダーソン著、日本放送出版協会)
・『素人のように考え、玄人として実行する―問題解決のメタ技術』(金出 武雄著、PHP研究所)
・『天才・異才が飛び出すソニーの不思議な研究所』 (所 眞理雄、由利 伸子著、日経BP社)

◆仕事に役立つお薦めのインターネットサイト
・Impress Watch Headline
・TechTargetジャパン

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・ネットワーク、サーバー関係の集合イベントやメーカー主催のイベントなど

◆ストレス解消法
・愛犬と遊ぶことです

■変更履歴
冒頭の段落の取締役執行役員の成田隆志・技術基盤本部長の説明を変更いたしました。本文は修正済みです。 [2010/07/01 17:30]