シマンテックは、クライアントアプリケーションに対する仮想化ソリューションを提供している。ユーザーの“ワークスペース”を仮想化して、いつでもどこでも利用できるようにすることが狙いだ。クライアント仮想化の現在の姿を探る本特集の最終回は、シマンテックのテクノロジーを取り上げる(編集部)

裵 琪相(ベイ キサング) シマンテック

 読者にとってシマンテックといえば、アンチウイルスなどのセキュリティ製品やバックアップ製品を思い浮かべることだろう。しかし、2007年4月にアプリケーション仮想化ソフト「Altiris」、2008年6月にアプリケーションのストリーミング配信ソフト「AppStream」、2008年8月にプレゼンテーションの仮想化製品「nSuite」──の3製品を続けて買収し、「シマンテックは仮想化」というメッセージの下で、新たなソリューション分野に力を注いでいる。

 ここでは、ほかの仮想化インフラベンダー各社が提供できない、シマンテックならではの機能を中心に紹介する。

 シマンテックの仮想化のビジョンは、エンドユーザーを中心に据えて、複雑なITインフラ(サーバー、ネットワーク、クライアントPC、OSなど)からエンドユーザーを解放し、必要な情報を必要なときにどこからでも自由に利用できる環境を提供しようというものである。

 エンドユーザーにとって、データやアプリケーションがどこにあって、プログラムがどこで実行されるか、仮想環境か否かは重要ではない。自分の作業空間(ワークスペース)を、いつでもどこでも快適に利用したいだけである。具体的には、ワークスペースを「OS/デスクトップ」「アプリケーション」「個人設定情報(ユーザー・プロファイル)」「データ」──の四つのコンポーネントに分離し、エンドユーザーの役割、所在地、時間に応じて最適なコンポーネントを提供する。

 シマンテックでは、このビジョンに基づいて、「Symantec Endpoint Virtualization Suite」というスイート製品を提供している(図1)。以下では、このスイートの中から、アプリケーションのストリーミング配信機能を持つ「Symantec Workspace Streaming(旧AppStream)」と、アプリケーションの仮想実行機能を持つ「Symantec Workspace Virtualization」について解説する。

図1●「Symantec Endpoint Virtualization Suite」の製品構成
図1●「Symantec Endpoint Virtualization Suite」の製品構成
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