経営環境が大きく変化する中で、情報システムにも変革が求められている。最大の要件は、ビジネスの変化に備えるプラットフォームの確立だ。ITベンダー各社はどんな基盤像を描いているのだろうか。IBMが主張する「IT基盤のあるべき姿」に続き、今回は、その実現に向けてIBMが重要視しているテクノロジーを紹介する。(ITpro)

 IBMが提唱する次世代IT基盤のコンセプトは、「ダイナミック・インフラストラクチャー」(関連記事:IBMが考える「次世代IT基盤のあるべき姿」)だ。そこでは、“進化”するシステムを確実に実現するための、「ワークロード最適化」というコンセプトに沿った技術・製品が必要である。

 ワークロード最適化は、システムを設計するための指針である。「Smarter Planet」の進展に伴って生み出され、強化が必要になる種々のワークロード(≒業務)に応じた、最適なパフォーマンスとコスト、拡張性を実現する(図1)。

図1●ワークロード最適化の概念
図1●ワークロード最適化の概念
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 ワークロードは、四つのカテゴリーに分けられる(図1の左)。それぞれが固有の特性を持っている。

(1)トランザクション処理、データベース:スケーラビリティ、高いQoS(サービス品質)、ピーク対応、継続性・柔軟性、セキュリティが必要
(2)ビジネスアプリケーション:スケーラビリティ、高いQoSに加え、大量のメモリー、柔軟性が求められる
(3)分析、HPC:浮動小数点および10進を含む高い演算能力と高速なメモリー帯域が必要
(4)Web、コラボレーション、基盤サービス:スループット志向で高い並行度のためのスレッド性能が必要。拡張性も重要な一方、QoSへの期待は一般には他のワークロードほどは求められない

 これらワークロードから要件を導き出し、それに沿った最適なデザインを行うことで、ワークロードの最適化を図っていく(図1の右)。このプロセス自体は、なんら新しくは感じないかもしれない。 ワークロード最適化のポイントを示したのが図2だ。

図2●ワークロード最適化の技術要素
図2●ワークロード最適化の技術要素
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 すなわち、真にワークロード最適化を実現するために必要な主な技術構成要素である。現在のデータセンターは様々な課題を抱えている。これらに、より適切な解を提供するためのデザイン要素を取り込んでいる。

 具体的には、データセンター全体の仮想化、エネルギー消費の抑制、ファブリックの高速化や管理の統合、柔軟性を担保するためのI/O仮想化、性能向上のためのアクセラレーターの開発などである。