今回取り上げるftpコマンドは,ネットワーク上でファイルをやりとりするためのコマンドである。サーバーから自分のパソコンにファイルをダウンロードするときによく使われる。このほか自分のホームページを更新するときに,Web(ウェブ)サーバーへ各種データ・ファイルをアップロードするといった用途でも利用される。

 ftpコマンドを使うと,異なるOS環境のマシン同士,例えばLinux(リナックス)サーバーにあるファイルをクライアントのWindowsマシンにダウンロードすることができる。Windowsマシンだけで構成するWindowsネットワークならSMBによるファイル転送が可能だが,異なるOS環境の相手とファイルをやりとりするときはftpコマンドが便利だ。コマンドラインで動作するので,GUI環境でなくても利用できる。

サーバーに接続してディレクトリを移動

 ftpコマンドには各種サブコマンドが用意されており,転送するファイルの種類や個数などの条件に合わせて使い分ける(表1)。二つの実行モードがある。一つはサブコマンドを一つずつ実行する対話型モード,もう一つはスクリプト・ファイルを利用して一連の操作を自動的に実行する非対話型モードである。

表1●ftpコマンドでよく使われるサブコマンドの例
表1●ftpコマンドでよく使われるサブコマンドの例

 ここではまずftpコマンドの対話型モードで,サーバーに接続してからファイルをダウンロードするまでの操作を追ってみよう。いつものようにWindowsマシンのコマンド・プロンプトを起動すれば準備は完了。そこで以下のように「ftp」と打ち込み,「Enter(エンター)」キーを押す。

 C:\>ftp

 実行すると,プロンプト「ftp>」が表示され,サブコマンド待ちとなる。この状態が対話型モードである。ここでIPアドレスが「192.168.100.14」のFTPサーバーに接続するために,「open」サブコマンドを使って以下のように打ち込む。

 ftp>open 192.168.100.14

 実行するとFTPサーバーに接続し,ユーザー名の入力待ちとなる(図1)。ここでユーザー名とパスワードを入力すればログインが完了する。

図1●ftpコマンドの基本的な使い方<br>単に「ftp」と実行すると,プロンプトが表示され対話型モードに入る。ここで,「open」サブコマンドとFTPサーバーのIPアドレス(あるいはホスト名)を入力して実行すると,そのサーバーに接続し,ユーザー名の入力待ち状態となる。なお,コマンド・プロンプトで「ftp<IPアドレスあるいはホスト名>」と実行しても同じ結果になる。
図1●ftpコマンドの基本的な使い方
単に「ftp」と実行すると,プロンプトが表示され対話型モードに入る。ここで,「open」サブコマンドとFTPサーバーのIPアドレス(あるいはホスト名)を入力して実行すると,そのサーバーに接続し,ユーザー名の入力待ち状態となる。なお,コマンド・プロンプトで「ftp<IPアドレスあるいはホスト名>」と実行しても同じ結果になる。
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 次にFTPサーバー上で目的のファイルがあるディレクトリに移動する。作業ディレクトリを例えば「/array1/nikkeibp」に変更したい場合は,「cd」サブコマンドを使って以下のように打ち込み実行する。

 ftp>cd /array1/nikkeibp

 ここで現在のディレクトリを確認するために「pwd」サブコマンドを実行すると,指定したディレクトリに移動していることがわかる(図2)。

図2●FTPサーバー上の作業ディレクトリを変更する<br>「cd」サブコマンドを使うと,FTPサーバー上の作業ディレクトリを変更できる。ディレクトリの確認には「pwd」サブコマンドを使う。
図2●FTPサーバー上の作業ディレクトリを変更する
「cd」サブコマンドを使うと,FTPサーバー上の作業ディレクトリを変更できる。ディレクトリの確認には「pwd」サブコマンドを使う。
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