「Twitterで当社のブランドを高めたい」と語る神戸聡取締役
「Twitterで当社のブランドを高めたい」と語る神戸聡取締役
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 化粧品メーカー、ドクターシーラボでCIO(最高情報責任者)相当職を務める神戸聡取締役通信販売事業部長兼ダイレクト推進部長兼情報システム担当兼ラボラボブランド担当は広告業界出身。2002年にマーケティング部長として同社に入社した。2005年からはコールセンターなど情報システム担当も務めている。

 「かつては、ブランドは広告で作るものだと思い込んでいた。広告の効果は一時的なものだ」と神戸取締役は語る。同社のコールセンターも2005年ごろは一方的に商品価値を伝えようとするばかりで、きちんとした会話をできていなかったと打ち明ける。実際、2006年1月期(2007年から7月期決算に変更)には営業利益が前年同期比で21.5%減少する不振に陥ったことがある。

 そのころから神戸取締役はコールセンターの業務革新に取り組んだ。1件当たりの通話時間を重視するのをやめ、「顧客から感謝の言葉をもらえること」を最大目標に置くようにした。2007年から四半期ごとに優秀例を選出して表彰している。顧客満足度を高めるため、2008年5月にはコールセンター業者の変更も行った。ほかにも累積購入金額に応じた割引制度の開始、ポイント制度の見直しなどでリピーター獲得策を強化した。

 さらに2007年12月からウェブサイトの改善にも着手。「それまでの当社サイトはただの『自動販売機型ウェブサイト』だった」(神戸取締役)が、商品開発に顧客の声を取り入れるようにした。2009年7月にはウェブサイト利用者のアクセス経路や行動履歴と購入実績の相関などを分析できる行動ターゲティング分析ツールを導入。無料サンプル請求の有無や購入履歴、購入間隔などをcookie(クッキー)から読み取り、これに応じて表示を変化させている。「ページ遷移やマウスの動きなども分析対象にしていく」(神戸取締役)考えだ。2010年2月にはウェブおよび携帯電話サイトに動画配信ASP(ソフトウエアの期間貸し)を導入した。メーク落としなど使い方の説明動画を中心に掲載して顧客満足度向上を図っている。

 2010年7月期の通年の業績予想は、売上高が前期比18.9%増の308億円、営業利益は同38.8%%増の75億円と上昇基調だ。今後の課題には行動ターゲティング分析ツールの一層の活用や、動画コンテンツの充実、Twitter(ツイッター)の公式アカウントからの情報発信などを挙げる。「Twitterはウェブ上で継続的にブランド力を高めることに活用できる初めてのメディアだ。当社の公式アカウントを100万人にフォローしてもらうのが夢」と語る。神戸取締役自身、実名登録でアカウントを取得している。会社への信頼感を高められるTwitter利用法を、自らつぶやきながら日夜考え続けている。

Profile of CIO
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・まず理念やビジョン、目標実現の進ちょくと現実とのギャップを共有し、そのうえでギャップ解消に必要な方策を共有します。次に、人が行うべきこととIT(情報技術)が行うべき方策とに分類したうえで、投資対効果や再投資基準を明確にします

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・理念やビジョンや目標の実現を共有したうえでの提案がほしい。提案は真のエンドユーザーである当社のお客様を基点に置いたものであるべきです。例えばシステムの価値は、「化粧水を買うのに10万円払うお客様はほとんどいない」というような感覚を持ったうえで見積もってほしい

◆普段読んでいる新聞・雑誌
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・日経MJ
・日経ビジネス
・週刊ダイヤモンド

◆最近読んだお薦めの本
・『ザ・クリスタルボール』(エリヤフ・ゴールドラット著、ダイヤモンド社)
・『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』岩崎夏海著、ダイヤモンド社)
・『ガラスの巨塔』 (今井彰著、幻冬舎)

◆仕事に役立つお薦めのインターネットサイト
・CIO Online

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
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◆ストレス解消法
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