「Google Apps」は、米グーグルが提供するクラウドサービス。メールシステムの「Gmail(ジーメール)」や共有カレンダーシステムの「Googleカレンダー」など、様々なアプリケーションをWebサービスとして提供する(図1)。
Google Appsは、ユーザーに合わせた複数のエディションがある。個人や家庭向けの「Google Apps Standard Edition」(以下、Standard)、企業向けの「同Premier Edition」(Premier)、教育機関向けの「同Education Edition」(Education)だ。
StandardとEducationは無料だが、Premierは有料だ(表1)。
Premierの特徴は三つある。一つは「Gmailの容量」だ。Standardが1アカウントにつき7G(ギガ)バイト強の容量であるのに対し、Premierは約3倍の25Gバイトの容量を持つ。
二つめは「サービスの稼働率が99.9%」である点。“ダウンすることがほとんどないサービス”というわけだ。ただし99.9%の稼働率を保証しているのはGoogle Apps自体の稼働状態であり、インターネットなどネットワーク周りを含めた稼働率ではないことに注意したい。
そして最後が「ユーザー企業の既存システムとGoogle AppsをAPIで統合する仕組み」が提供されている点だ。
ここからは、企業向けのPremierをベースに、Google Appsを企業が使いこなすうえで必要となる仕組みを“解剖”していこう。具体的には今回と次回の前半で「Google Appsの企業利用を補強する機能やサービス」を、次回の後半で「Google Appsによるオフィス機器の新しい使い方」を示す。
業務システムと連携、企業利用を促す
「グーグルは元々コンシューマー向けのサービスから始めた会社のためか、“組織での利用”という考え方が希薄です。Google Appsも企業向けサービスとしては物足りない面が見受けられます」(富士ソフト ソリューション事業グループ クラウドユニットの間下浩之ユニット長)。そのためソリューションベンダーやグーグル自身が、Google Appsを企業向けに使いやすくするためのサービスや機能を提供している。