Web APIによるアプリケーションの拡張を、我々が実際に行ったITproアプリケーションへのモバイル広告組み込みを例に解説する。前編ではWeb APIの概念とその利用例を説明した。今回は実際にモバイル広告サービスのAdMobに登録し、モバイル・アプリに広告を組み込む過程を紹介する。

スマートフォンの台頭で注目集めるモバイル広告

 本編に入る前に、まずはモバイル広告の歴史をかいつまんで見ていくことにしよう。

 Webを主な媒体としたインターネット広告の市場は、ここ数年爆発的な成長をとげている。中でも有名なのが米Googleの提供する広告配信サービス「AdSense」だろう。ユーザーは、自身のWebサイトやブログに対して、Googleの提供するコードを貼り付けることで、Googleから配信される広告を掲載することができる。WebサイトのコンテンツをGoogleが解析し、その結果を基に自動的に配信される決定されるという仕組みだ。

 その後、2000年代中頃から、次第にモバイル広告の潮流が高まりはじめた。そして今、リッチなブラウジング環境を搭載したスマートフォンの市場が急成長するにともなって、にわかにモバイル広告が広告主の注目を集めはじめている。

 モバイル広告配信事業を展開する企業として世界最大手の米AdMobは、特にiPhoneやAndroidのようなスマートフォンに向けたアプリ内広告の配信に注力している。iPhoneのアプリケーションを使っていて「Ads by AdMob」の文字を見かけたことがある人は多いのではないだろうか。スマートフォン向けの広告で特徴的なのは、テキストベースだった従来のモバイル向け広告よりもさらにリッチな広告表現が可能になるという点だ。

 AdMobは、広告主だけのサービスではもちろんない。アプリケーションデベロッパーは、自作のアプリケーションに組み込む形でアプリ内広告を配信することが可能だ。トラフィックに応じた広告掲載料も支払われるので、自作のアプリを無料アプリとして公開する代わりに、ちょっとした小遣い稼ぎの感覚で広告を掲載できる。AdMobは、デベロッパー向けにAPIを公開しており、AdMobのサイト上で利用者登録をしさえすれば、比較的簡単に利用することができる。

 早速、登録の方法から見ていくことにしよう。