今回取り上げるnbtstat(エヌビーティースタット)コマンドは,Windowsネットワークの接続状況を調べるためのコマンドである。nbtはNetBIOS(ネットバイオス) over TCP/IPを意味する。本連載の第5回第6回で紹介したnetstat(ネットスタット)コマンドのWindowsネットワーク版といえる。

 nbtstatコマンドを使うと,Windowsネットワークにつながっているパソコンのコンピュータ名(NetBIOS名)や対応するIPアドレスなどがわかる。例えば「マイネットワーク内のネットワークコンピュータの一覧に表示されない」ケースや,その逆に「ネットワーク一覧には表示されているが実際には通信できない」といったときにnbtstatコマンドを実行すると,何というパソコンがどのような役割(動作モード)でWindowsネットワークにつながっているのかを確認できる。

 またnetstatコマンドと同様,nbtstatコマンドを使うと自分がやりとりしたWindowsネットワーク関連パケットの統計情報を表示することが可能だ。他のパソコンとの接続状態や,やりとりしたデータ量,Windowsの名前解決に関する統計情報などを調べることができる。これによって,自分のネットワークで名前解決がどのように実行されているかがわかる。

パソコンの動作モードを調べる

 nbtstatコマンドは,オプション・パラメータを指定することでWindowsネットワークのいろいろな情報を調べられる。主なオプションを紹介していこう(表1)。

表1●nbtstatコマンドでよく使われるオプション・パラメータ
この表以外のオプションについてはnbtstatコマンドのヘルプを参照してほしい。「nbtstat」あるいは「nbtstat /?」と入力してEnterキーを押せばヘルプが表示される。
表1●nbtstatコマンドでよく使われるオプション・パラメータ

 ネットワークにつながるリモートのコンピュータの動作モードを確認したいときには,「-a」オプションを使う。例えば「PRV-ENDO02N」というコンピュータ名のパソコンを調べたいときには,いつものようにコマンド・プロンプトを起動してから以下のように打ち込む。

 C:\>nbtstat -a PRV-ENDO02N

 実行すると表形式で結果が表示される(図1)。この表をNetBIOS名テーブルと呼ぶ。左端のNameではNetBIOS名が表示される。その右隣にあるTypeはNetBIOS名の種類を表す。UNIQUEならホスト名,GROUPならワークグループ名やドメイン名となる。今回の実行結果を見ると,PRV-ENDO02Nはワークグループ「WORKGROUP」に属しているホストだということがわかる。

図1●nbtstatコマンドの基本的な使い方<br>「-a」オプションでコンピュータ名(NetBIOS名)を指定してnbtstatコマンドを実行すると,NetBIOS名テーブルが表示される。このテーブルを見るとパソコンの動作モードがわかる。
図1●nbtstatコマンドの基本的な使い方
「-a」オプションでコンピュータ名(NetBIOS名)を指定してnbtstatコマンドを実行すると,NetBIOS名テーブルが表示される。このテーブルを見るとパソコンの動作モードがわかる。
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 コンピュータ名の代わりに,IPアドレスを指定して動作モードを調べたいときには「-A」オプションを使う。以下のように打ち込む。

 C:\>nbtstat -A 192.168.1.5

 実行するとNetBIOS名テーブルが表示され,指定したIPアドレスに対応するコンピュータ名が「PRV-ENDO01N」であるとわかる(図2)。

図2●IPアドレスを指定してパソコンの動作モードを調べる<br>「-A」オプションを使うと,コンピュータ名の代わりにIPアドレスを指定して NetBIOS名テーブルを表示させることができる。この実行結果からは,PRV-ENDO01Nがマスター・ブラウザであることがわかる。
図2●IPアドレスを指定してパソコンの動作モードを調べる
「-A」オプションを使うと,コンピュータ名の代わりにIPアドレスを指定してNetBIOS名テーブルを表示させることができる。この実行結果からは,PRV-ENDO01Nがマスター・ブラウザであることがわかる。
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 ここでNetBIOS名テーブルの最下行を見てほしい。Nameのところに「..__MSBROWSE__<01>」とある。このことからPRV-ENDO01Nがマスター・ブラウザであることがわかる。

 マスター・ブラウザとは,ワークグループやドメインに所属するコンピュータのNetBIOS名を一元管理する特別なコンピュータのこと。他のパソコンはマスター・ブラウザが持つコンピュータの一覧(ブラウズ・リスト)を参照して,マイネットワークのネットワーク一覧として表示する。通常はドメイン・コントローラがマスター・ブラウザとなるが,ワークグループなどドメイン・コントローラが存在しない場合はあらかじめ決まっている優先順位に従って適当なコンピュータがマスター・ブラウザになる。

 マスター・ブラウザになっているコンピュータの電源を落とすと,優先順位に従って別のコンピュータがマスター・ブラウザになる。このとき今までネットワーク一覧に表示されていたコンピュータが表示されなくなったりする場合がある。そのような場合は,-aオプションや-Aオプションを組み合わせてnbtstatコマンドを実行し,現在どのコンピュータがマスター・ブラウザになっているかを確認するとよい。