ニフティクラウドは、米VMwareのサーバー仮想化ソフト「VMware vSphere」を核に独自の運用管理インフラを加えた仮想マシンホスティング・サービスだ。@niftyの法人契約を持つユーザーであれば5分とかからずに仮想サーバーや仮想ロードバランサーを生成・利用できる。サーバー生成やストレージ追加の柔軟性と、それを生かす料金体系、分かりやすい管理画面を兼ね備えている点で、単なる仮想マシンの時間貸しサービスとは一線を画している(画面1)。
10種類の仮想マシンを用意
ニフティクラウドのアカウントを取得してログインすると、起動中の仮想サーバーや障害情報などを一覧できるダッシュボード画面が開く。この画面を起点に、仮想サーバーの生成や仮想ディスクの追加などを実施する。法人向けのサービスとしてスタートしたが個人ユーザーへの提供も視野に入れているだけあって、管理画面の操作は総じて分かりやすい。戸惑うのはヘルプをPDF資料として用意している点だが、プリントアウトして常時参照するには便利だ。サーバー管理の経験があれば、迷うことなく基本的な操作を実施できる。
続いて仮想マシンを生成してみよう。仮想マシンは、スペックに応じて10種類ある(表1)。CPU性能が「mini」「small」「medium」「large」と4段階あり、名称の最後にメモリー容量を示す数字が付く。例えば最上位の「large16」は、4仮想CPUコアで16Gバイトの仮想メモリーを持つ仮想マシンである。スペックを類推しやすい名称だ。
  | CPU(動作周波数) | メモリー | HDD | 従量課金(停止時) | 定額課金 |
---|---|---|---|---|---|
mini | 1vCPU(1GHz) | 512MB | 30GB(Windows Server選択時は40GB) | 12.6円/時(5.25円/時) | 7875円/月 |
small | 1vCPU(3GHz) | 1GB | 23.1円/時(5.25円/時) | 1万3335円/月 | |
small2 | 2GB | 31.5円/時(6.3円/時) | 1万8144円/月 | ||
small4 | 4GB | 44.1円/時(7.35円/時) | 2万5410円/月 | ||
medium | 2vCPU(3GHz) | 2GB | |||
medium4 | 4GB | 60.9円/時(8.4円/時) | 3万5070円/月 | ||
medium8 | 8GB | 84円/時(10.5円/時) | 4万8300円/月 | ||
large | 4vCPU(3GHz) | 4GB | |||
large8 | 8GB | 115.5円/時(11.55円/時) | 6万6528円/月 | ||
large16 | 16GB | 159.6円/時(12.6円/時) | 9万1927.5円/月 |
10種類ある仮想マシンのうち、「small」以上は1仮想CPUコアが3GHz動作相当という仕様だ。内部的に「small」以上は、物理CPUコア(CPUは動作周波数が2.93GHzのXeon 5570)を1対1で割り当てている。高速性を前面に押し出した設計思想と言える。最下位の「mini」仕様のみリソースに制限を加え、動作周波数を1GHz相当として提供している。
料金体系は仮想サーバーごとに従量課金と月額課金を使い分けられる。従量課金で1カ月休みなく使い続けるのと比べると、月額課金の方がminiで15%、small以上で25%割安だ。特徴的なのは、仮想サーバーを「停止」した時の料金がメニューにあること。仮想サーバー停止時は計算/ネットワーク資源は消費しないが、仮想マシンのイメージを格納する領域は確保したままだからだ。停止時のスペックで料金が決まるので、長期間利用しないのであればminiやsmallに切り替えてから仮想サーバーを停止すると課金を抑えられる。
物理サーバーで障害が発生すると、仮想サーバーは他のサーバーから自動的に再起動する。内部的には、VMwareのハイパーバイザーをUSBフラッシュメモリーで展開。ディスクレスで運用することで、ハードウエア故障時のニフティクラウド側のサーバー交換に必要なコストを抑えている。
最小構成からのスケールアップが可能
サーバーのスペックを決めたら、今度はOSを選ぶ(画面2)。大きくRed Hat Enterprise Linux互換のディストリビューションであるCentOS 5.3、RHEL 5.3、64ビット版Windows Server 2008 R2があり、RHELとCentOSは32ビット版と64ビット版を選択できる。
いずれのOSでも、64ビット版を選択しておけばminiからlarge16まで10段階のスケールアップ/ダウンが可能だ。サーバーを停止して再度起動する際に、任意の仮想サーバー仕様を選択できる。最下位仕様の仮想マシン「small」では32ビット版のOSしか使えないAmazon EC2より制約が少ないと言える。
仮想サーバーおよびOSの種類が決まれば、選択した仕様に応じて料金が提示される(画面3)。最大5分で仮想サーバーの生成が終わるとうたっているが、実際にそれくらいの時間で起動するようだ。