情報化戦略の「真の意思決定者」は、システム部長・課長である。だが、システム部門を取り巻く状況は厳しい。リーマン・ショックで開発案件は軒並み中断・凍結され、システム部門のミッションは「既存システムの運用コストを削減すること」になってしまったからだ。

 開発案件が豊富にあった以前のように、経営層や業務部門と密にコミュニケーションをとる機会も減った。このままでは、情報化戦略の立案機能まで弱まってしまう。

 こうした事態にいち早く気付いた企業は、システム部門の組織を再編したり、システム部門の役割を見直したりして、情報化戦略の立案・実行機能を立て直そうとしていることが、最新の「景況・IT投資動向調査」で明らかになった。

3社に1社がシステム部門を再編

 「システム部門の再編を過去2年間で行ったか。もしくは今後2~3年で行う計画はあるか」を尋ねた結果を図1に示す。

図1●システム部門の再編を過去2年間で行ったか。もしくは、今後2~3年で行う計
画はあるか
図1●システム部門の再編を過去2 年間で行ったか。もしくは、今後2~3年で行う計 画はあるか

 「経営企画など経営管理部門と統合、または傘下に入る」といったシステム部門の再編を、この2年で実施していた企業が約2割いることも分かった。今後2~3年で検討している企業まで含めると、3社のうち1社でシステム部門が再編される。

 例えば、「経営企画など経営管理部門と統合、または傘下に入る」は「実施した」が18.2%、「検討している」が13.1%。「システム部門の権限を強化する(部・課・室の格上げ)」は「実施した」が17.4%、「検討している」が10.6%である。

図2●システム部門の役割や機能は、今後2~3年でどのように変わっていくか
図2●システム部門の役割や機能は、今後2~3年でどのように変わっていくか

 こうした組織再編の背景には、「経営」機能の一部として新しい情報化推進体制が求められていることがある。「システム部門の役割や機能は、今後2~3年でどのように変わっていくか」を聞いたところ、半数以上の56.8%が「経営企画・経営戦略の立案に深く携わる」と回答した(図2)。「社内開発ベンダーの機能」(33.1%)や「社内運用ベンダーの機能」(30.9%)など、システム開発・運用部門としての役割・機能を大きく上回った。