反転攻勢に向けたIT投資が、2010年夏から本格的に再開しそうだ。予算ではなく実際に執行したIT投資額の増減を四半期ごとに把握するため、日経コンピュータは四半期ごとに「IT投資DI(ディフュージョンインデックス)」を算出している。最新の「景況・IT投資動向調査」によると、開発分野のIT投資DIが7~9月期にプラスに転じることが分かった。

開発分野のIT投資DIがプラスへ

 IT投資DIは、執行した予算額が前の四半期よりも「増えた」割合から「減った」割合を差し引いて求める。四半期ごとの変化を示したのがだ。

図●IT予算の執行額の増減(前四半期比)
図●IT予算の執行額の増減(前四半期比)
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 情報システム分野では年度末に予算を執行するケースが多いため、1~3月期のIT投資DIはプラスになる(執行した予算額が前年の10~12月期より増える)のが一般的だ。しかし、2010年1~3月期のIT投資DIはマイナス8.9ポイントで、前の四半期(2009年10~12月期)よりもIT予算の執行額を減らした企業が多かった。

 財布のひもは徐々に緩みつつある。2010年4~6月期の開発分野のIT投資DIはマイナス2.1ポイント(予想値)で、マイナス幅がぐんと小さくなる。各社が相次いで予算を凍結した2009年4~6月期(マイナス14.2ポイント)と比べると、10ポイント以上も高い。

 では、2010年度の予算が本格的に執行される7~9月期はどうか。開発分野のIT投資DIは2.5ポイント(予想値)と、1年ぶりにプラスに転じる見込みだ。

 運用・保守分野に目を転じると、IT投資DIはマイナス基調が続きそうだ。2010年1~3月期はマイナス12.7ポイント、4~6月期の予想値はマイナス5.6ポイント、7~9月期はマイナス9.8ポイントで、DIがプラスに転じる気配はない。限られたIT予算を有効活用するため、運用・保守予算を削って開発分野に振り向ける傾向はしばらく続きそうだ。