景気の先行きを見通せない状況が続いている。しかし、「コスト削減」に注力するだけではグローバルな競争環境の変化に取り残されてしまう。欧州の金融危機など世界経済は予断を許さない状況ではあるが、「守り」から「攻め」に転じる準備を進める国内企業が着実に増えている。

 日経コンピュータ日経BPコンサルティングは、システムの利用企業(ユーザー企業)のCIO(最高情報責任者)やシステム部長といった情報化戦略のキーパーソンを対象に、四半期に1度「景況・IT投資動向調査」を実施している。最新の調査結果を基に、IT投資再開に向けたユーザー企業動向と情報化戦略を推進する「真の意思決定者」を探った。

 今回の調査は2010年3月19日~3月31日に実施し、254社・団体から有効回答を得た。民間企業の投資動向を探るため、官公庁や公共団体を除いた236社を集計対象にした。

景気後退の“底”が見えてきた

図1●2010年3月下旬時点の景況感
図1●2010年3月下旬時点の景況感

 情報化戦略のキーパーソンに景況感(2010年3月下旬時点)を聞いたところ、4割近くが「底を打った」あるいは「底を打ちそうな感覚はある」と回答した(図1)。「楽観はできないが、“まったく底が見えない”という状況ではない」(製造業のシステム部長)、「売り上げの減少に歯止めがかかった」(流通業のCIO)といった意見は少なくない。

 内訳を見ると「底を打った。回復の兆しが見えている」が14.0%、「底を打ちそうな感覚はある。7月以降に好転しそう」が10.2%、「底を打ちそうな感覚はある。10月以降に好転しそう」が14.4%である。

 一方で「底は見えないが、2011年以降に回復しそう」(28.4%)、「2011年以降も悪化し続ける」(16.1%)という悲観的な見方があるのも事実だ。それでも2009年12月に実施した調査では、「現状より悪化する」「現状と変わらない」という回答が約8割を占めていた状況を考慮すると、景気の「最悪期」は脱したと考えてよさそうだ。