フラッシュメモリーを記憶装置に用いるSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)をピンポイントで使い、コストを抑えながら処理能力を高める技術が広まってきた。SSDは、ストレージに一般的に使われるHDD(ハードディスクドライブ)と比べ、処理能力が約30倍だが価格は10~40倍。そのため、すべてをSSDに置き換えるのは現実的ではないからだ。

 SSDをピンポイントで活用する技術は主に二つある。一つめは、SSDを含む複数ドライブを「階層化」し、データを使用頻度に応じて自動で再配置する技術だ。階層化とは、使用頻度の高いデータだけを高速なドライブに配置し、処理能力向上を図る手法だ。

 日本IBMが4月21日に発表したストレージ製品「System Storage DS8700」の新版が同機能を備える()。例えば、全ドライブで6T(テラ)バイトのデータを保存する場合、その10%をSSDにすると、処理能力が4倍に向上するという。IBM製品と同様の機能を持つ製品は、EMCジャパンが昨年12月に投入している。

図●日本IBMの新製品は、高価なSSDをピンポイントに使い、コストを抑えて処理能力を高める機能を備えている
図●日本IBMの新製品は、高価なSSDをピンポイントに使い、コストを抑えて処理能力を高める機能を備えている
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 二つめは、サーバーのメモリーとストレージのHDDの間にSSDを配置し、大容量のキャッシュとして利用する手法だ。性能・価格がメモリーとHDDの中間であるSSDを間に挟むことによって、安価に処理能力を高められる。

 日本IBMが4月13日に発表したデータウエアハウス(DWH)専用機「Smart Analytics System 5600S」はメモリーとHDDの間に640ギガバイトのSSDを配置。HDDは18Tバイト以上搭載する。SSDを搭載しない機種に比べ、処理能力は約2倍に高まる。

 富士通と日本オラクルも4月22日、SSDをキャッシュとして使うオラクルの技術とデータベースソフトに、富士通のハードウエアを組み合わせた性能検証の結果を発表。処理性能が2.4倍上がったとする。