ビジネス文書では、話し言葉を多用せずに、きちんとした「書き言葉」(文章ならではの表現)を使うべきです。今回は、 文章ならではの表現について、学びましょう。

どこが問題?

拝啓 いつもお世話になっております。皆様お元気にお過ごしでしょうか。
 ところで、先日は「マネージャーのためのスキルアップ」講座にご参加いただき本当にありがとうございました。おかげ様で約120名のご参加となり、盛況のうちに講座を終えることができました。
 特にグループディスカッションでは活発な議論が行われ、実りの多い会合となりました。これも皆様のおかげだと感じています。
 次回は7月に講座開講予定でございます。皆様のまたのご参加をぜひお待ち申し上げております。
 今後ともどうか宜しくお願い致します。

ここが問題! 話し言葉と書き言葉が混在している

 一見、意図することは通じるのですが、ビジネス文書としては、ややカジュアルな印象を持ちませんか?その理由は全体的に、話し言葉を多用しているからです。

これで解決! 文章ならではの言い回しを使いましょう

 日本語では、書き言葉と話し言葉を使い分けなければなりません。文章で話し言葉を用いてしまうと礼儀を欠いてしまったり、軽率な印象を与えてしまったりします。

 では、改めて両者の違いを確認してみましょう。

 書き言葉にあって、話し言葉にはない表現は大きく2種類あります。定型挨拶表現と慣用表現です。

 定型挨拶表現とは、以下のような、手紙の文頭・文末にある挨拶文です。

「貴社ますますご健勝のこととお喜び申し上げます」
「貴社ますますご隆盛のことと存じます」
「平素は格別のご厚情を賜り心より御礼申し上げます」
「謹んで御社のご発展ご盛業をお祈り申し上げます」
「なにとぞ倍に旧するご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
「時節柄ご自愛くださいますようお祈り申し上げます」

 「拝啓・敬具」も、定型挨拶表現の一種です。これらの挨拶表現は原則、手紙や紙面での文書の場合に用います。ビジネスメールでは、

文頭「いつもお世話になっております」
文末「何卒宜しくお願い致します」

と簡略しても大丈夫です。

 もう1種類の慣用表現とは、下記のような文章ならではの言い回し表現です。

意味文章の慣用表現
ことがらの内容~の由 ~の旨
~してもらえると、ありがたい幸甚です。幸いです。
本当に誠に
ところでさて
そこで そのことに関してつきましては
どうか何卒
今度このたび
調べて受け取るご査収
急いで とりあえず取り急ぎ

 話し言葉よりも、フォーマルな表現です。

変わった!

拝啓 平素は格別のご厚情を賜り心より御礼申し上げます。
 さて、先日は「マネージャーのためのスキルアップ」講座にご参加いただき誠にありがとうございました。おかげ様で約120名のご参加となり、盛況のうちに講座を終えることができました。
 特にグループディスカッションでは活発な議論が行われ、実りの多い会合となりました。これもひとえに皆様のご支援のたまものと感謝いたしております。
 次回は7月に講座開講予定でございます。皆様のまたのご参加を心よりお待ち申し上げております。
 今後とも何卒宜しくお願い致します。
敬具

 以上のように、定型挨拶表現や慣用表現を用いることでビジネス文書と呼ぶにふさわしい印象になります。

 昨今は、口語的な表現をメールに用いる習慣がついてしまっている人も多いようです。しかし、われわれが日常行っているのはビジネス上の文書のやり取りです。マナー違反にならないよう、そして形式と常識を踏まえたビジネス文書になるよう、適切な文章表現を用いるようにしましょう。