NTTデータの「BizXaaSプラットフォームサービス」は、同社のデータ・センターで運用している各種クラウドを提供する。ラインアップしたクラウドは、仮想サーバーからアプリケーションの開発/実行環境、メールやグループウエアなどのアプリケーションと幅広い。

 「各種クラウドを取りそろえることで、顧客の要望に合ったクラウドをワンストップで提供する」。中井章文ビジネスソリューション事業本部サービス&プラットフォームビジネスユニット長は、BizXaaSプラットフォームサービスについて、こう説明する。

 提供形態は三つある。一つは、業務アプリケーションを個別に開発/実行できる環境を提供することだ。業務要件に合わせて個別にアプリケーションを開発したい顧客に向く。

図1●アプリケーション・サーバー「intra-mart」をベースにした開発環境を提供
図1●アプリケーション・サーバー「intra-mart」をベースにした開発環境を提供
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 アプリケーションの開発/実行環境は、NTTデータイントラマートのアプリケーション・サーバー「intra-mart」をベースにして構築してある。顧客は、intra-martの各種機能を利用して独自のJavaアプリケーションを開発できる(図1)。

 利用料は、アプリケーションの開発/実行環境を使うためのライセンス料と、開発/実行環境を実装した仮想サーバーの利用料を合算したものだ。ライセンス料はユーザー数に応じて課金する従量課金である。仮想サーバーの利用料は、スペックに応じて課金する。

 二つ目の提供形態は、カスタマイズ可能な業務アプリケーションの提供である。業務アプリケーションをゼロから開発する必要はないが、表示する項目や名称、計算のロジック、承認フロー、データ管理の方法などを業務に合わせて変更したい顧客に向く。

図2●プログラミングレスの開発環境を提供
図2●プログラミングレスの開発環境を提供
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 セールスフォース・ドットコムがSaaSで提供している営業支援ソフト「Salesforce CRM」と類似した提供形態である。顧客には、マウス操作だけでカスタマイズ作業を進められるツールを提供する(図2)。

 NTTデータは、営業支援やマーケティング支援、顧客管理といったフロント・オフィス系アプリケーションを、二つの目の形態で提供する計画だ。利用料は、アプリケーションのユーザー数に応じて月額課金する。

 三つ目は、標準化したアプリケーションを提供するサービスである。一言で言えばSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のことだ。メールやグループウエアといったコミュニケーション系アプリケーションが中心になる。利用料は、二つ目と同様にユーザー数に応じて月額で課金する。

 BizXaaSプラットフォームサービスで提供するサービスや機能は、自社やグループ各社が提供しているソフトウエア、SaaS、コンテンツ提供サービスなどを改修して実装した。intra-martをベースにしたアプリケーションの開発/実行基盤の提供は、その一例である。NTTデータは今後も、グループ各社の製品やサービスをBizXaaSプラットサービスに取り込んでライアンアップを強化していく。

 グループ以外のソフト会社やソリューション・プロバイダの製品やサービスについても、BizXaaSプラットフォームサービスで利用できるようにする。NTTデータは、BizXaaSプラットフォームサービスのインフラを安価に貸し出すといった方法で、他社との協業関係を推進していく。

 SIerであるNTTデータは、BizXaaSプラットフォームサービスとは別に、プライベート・クラウドの構築/運用支援サービスも提供している。同社は二つのサービスをクラウド事業の中核に位置づけ、クラウド事業を2013年3月末までに現在の約3倍に当たる1000