インフラに関する技術要求の具体的な例とそのまとめ方について説明していこう。インフラ要求とはその言葉通り,新システムの機器やソフトウエアなどに関して「どのような技術/製品を選択したいのか」を洗い出すものだ。このインフラの要求に関して,一つの大きな判断材料となるのが,既存の他のシステムやネットワークとの整合性を重要視するかどうかである。

 システムの資源管理の面から言えば,なるべく同じハードウエアやソフトウエア(バージョンも含め)の方が楽であるし,トラブルも少ない。しかし逆に既存の環境がかなり古いものであれば,新システム導入を機にそのほかのインフラも順次新しいものに入れ替えていこうと計画するかもしれない。どのようなもくろみで新システムのインフラを受け入れるのかを明確にすることが重要である。

(1)ハードウエア
[サーバー]
 メーカー,モデル,ジェネレーションなどの指定があれば記述する。スペック(CPUクロック数,メモリーサイズ,ハードディスク容量など)も同様。

[クライアントPC]
 メーカー,モデルの指定があれば記述する。スペック(CPUクロック数,メモリーサイズ,ハードディスク容量など),デスクトップかノート型か,ディスプレイのサイズも同様。

[ストレージ]
 メーカー,モデルなどの指定があれば記述。容量や拡張性,省電力などの要求があれば記述する。

[ネットワーク機器]
 ルーター,スイッチングハブのメーカー,モデル,スペックなどの要求があれば記述する。パッチパネルの利用の有無などにも触れる。

[その他]
 プリンター,スキャナーなどの入出力機器,あるいはその他機器などに要求があれば記述する。

(2)ソフトウエア
[サーバーOS]
 WindowsかUnix(Linux含む)か,指定またはどちらでもよい旨を記述。バージョンの指定があればそれも加える。

[データベースソフト]
 SQL ServerかOracleかそのほかの製品か,さらにバージョンの指定があれば記述する。特に他のシステムとのデータ連携が必要な場合は,データベースソフトの種類やバージョンはなるべく合わせたほうが開発費用や運用コストが軽減できる。

[クライアントOS]
 主にWindowsの種類の指定となる。既存のOSに統一したいのか,最新のものがよいのかといった要求を記述する。
[Webブラウザ]
 Web技術を利用したシステム構築の場合,Webブラウザの種類やバージョンなどには注意を払う必要がある。

[その他]
 特に指定すべきソフトウエアおよびバージョンがある場合は記述する。例えばサーバーのバックアップ取得ソフトウエアなど。

(3)ネットワーク
[LAN構成]
 各拠点内の構成,グルーピング。無線・有線のどちらでPCと接続したいのかを記述する。

[WAN構成]
 拠点間の構成をネットワーク構成図などを用いて図示する。国内だけでなく海外拠点もある場合は現地事情も踏まえた要求を記述する。また,VPNの必要性なども記述する。

[回線]
 専用線サービス,公衆回線,インターネットなど,利用を想定している回線の種類やそのサービスに特に求めたいことなどを記述する。

(4)機器構成
[サーバーの用途による構成]
 本番機,開発機,テスト機,バックアップ機などの構成イメージを記述する。

[周辺機器構成]
 サーバーラック,UPS,バックアップ装置,各種切り換え装置などの必要性やほしい機能などに関して記述する。