2010年4月24日に大阪で開催された「Android Developers Forum in Osaka」。パネルディスカッションでは、NTTドコモ スマートフォン事業推進室 アプリケーション企画 担当部長 山下哲也氏やクアルコムジャパン 代表取締役会長兼社長 山田純氏、日本Androidの会 関西支部長でブリリアントサービス 代表取締役の杉本礼彦氏、日本Androidの会 女子部で日本コムシンクの日高未紗子氏により、スマートフォンが組み込み産業に及ぼす影響や、スマートフォンの未来像に関する議論が交わされた。

 Android Developers Forum in Osakaは主催 日経BP社 ITpro、Android Application Award事務局、日経BPセミナー事業センター、特別協賛 NTTドコモ、特別協力 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、日本Androidの会により開催された開発者向けイベント。4月17日に東京で行われた「Android Developers Forum in Tokyo」(関連記事)に続くものだ。

写真●パネルディスカッション

スマートフォンが組み込み産業にもたらす影響

 パネルディスカッションは、キーパーソンによる講演(関連記事)、ライトニングトークス(関連記事)に続いてのセッション。司会は日経コミュニケーション 菊池隆裕副編集長が務めた。

写真●日本Androidの会 関西支部長 ブリリアントサービス 代表取締役社長 杉本礼彦氏

 「スマートフォンが普及することで、組み込み産業は縮小するか」---ブリリアントサービス 杉本氏は「携帯電話は特化ハードウエアなのに対し、スマートフォンは汎化ハードウエア。個々の機器を開発する仕事は減少するのではないか」と問題を提起した。

 「パソコンの歴史を振り返ると、昔はX68000やFM-TOWNSがあったが、Windowsが出てきたことでPC ATアーキテクチャだけになった。携帯だけでなく、カーナビなど他の機器も同じ道をたどるのではないか」と杉本氏は危機感を持っている。ハードウエアに近い部分の技術だけでは将来、仕事が減るかもしれない。それが同社がAR(拡張現実)Androidアプリケーション「ウキウキView」を手がけた理由だという。

 杉本氏の問題提起を受けて、クアルコムの山田氏は「ものづくりの拠点がアジアに移っていくことは、ある程度は避けられない」と見る。その上で「日本はサービスにひもづいたデバイスを提供するべき」と提言する。「(直接消費者向けに提供することは)昔はピラミッドの頂点の企業しかできなかったが、今はアイデアがあれば、アジアの企業と組むことで、かつては下請けだった企業でも挑戦できる」と山田氏は、新しい可能性に目を向けようと語った。