米Appleのスマートフォン「iPhone」の販売実績に大きな変化が表れている。同社が2010年1~3月期に世界で販売したiPhoneは875万2000台。前の四半期の販売台数873万7000台を超え、四半期ベースで過去最高になった。1年で最も消費が活発になるホリデーシーズンを含む10~12月期の販売台数を、比較的消費が冷え込む1~3月期のそれが上回るのは初めてのことだ(図1)。

図1●iPhone販売台数推移(単位:1万台)
図1●iPhone販売台数推移(単位:1万台)
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 「ホリデーシーズンを含まない四半期で過去最高の業績を報告できた」と決算発表で自信を示すSteve Jobs最高経営責任者(CEO)。同氏はiPhoneが伸び続ける理由について言及しなかったが、英Financial Timesは、英国でVodafoneといった新たな通信事業者が増えたことなどに加え、アジア市場が大きく寄与したことがその理由だと伝えている。

 記事によるとAppleは今回初めて、中国、台湾、香港の業績を明らかにしており、これら3市場における1~3月期の売り上げは前年の3倍に当たる13億ドルになった。Appleの決算資料を見ても、アジア太平洋地域の売り上げは前年比184%増と著しい伸びを示している。これに対し、米国は同26%増。日本は51%増という伸び率にとどまった。

 その売り上げに大きく貢献しているのがiPhoneというわけだ。「iPhoneとその関連製品/サービス」の売り上げはわずか半年前まで同社の総売上の20%程度にすぎなかった。これが今では40%にまでに拡大している(図2)。iPhoneの1~3月期の売り上げは54億4500万ドルと、1年前に比べ124%増。パソコンの37億6000万ドルを軽く上回っている。Appleという会社がMacintoshパソコンのベンダーからiPhoneベンダーへと大きく変わったことを示す数字である。

図2●Appleの売上構成比:2010会計年度第2四半期(1~3月期)
図2●Appleの売上構成比:2010会計年度第2四半期(1~3月期)
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 主力商品に大きな成長が見込めるとあり、Appleは中国市場への進出を積極的に進める考えだ。Financial Timesの記事は、今夏にも同社は上海に二つの店舗をオープンし、2011年末までに中国で合計25店舗を展開する計画だと伝えている。

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