プロローグで見たように、ITエンジニアのこころの病の問題は、長引く不況のせいでますます深刻化している。

 では、実際に、どれくらいの割合の人が「こころの病」と診断されており、どんな人がこころの病になりやすいのか。こころの病であると感じる主な原因は何なのか。職場には実際にどれくらい「うつ病」にかかった人がいるのか---こうした、こころの病の実態を明らかにするために、ITproでは「ITパーソンのメンタルヘルスに関するアンケート」を実施した。アンケートは、2010年3月30日~4月7日にかけて実施し、4009人から回答を得た。これだけの人数の回答者がいれば、かなり正確に実態を表していると言っていいだろう。

 アンケートではまず、「あなたは,自分がこころの病だと感じたことがありますか」と質問した。その結果は、「感じたことがある」と答えた割合が49.4%、「感じたことがない」と答えた割合が50.6%だった。2人に1人が、これまでにこころの病だと感じたことがあるわけだ。これはかなり高い割合と言えるだろう。

図1● あなたは,自分がこころの病だと感じたことがありますか(有効回答数3993人)
図1● あなたは,自分がこころの病だと感じたことがありますか(有効回答数3993人)

 これまでに、医師やカウンセラーに相談したことがあるかどうかも聞いた。その結果は、「医師の診察を受けたことがある(カウンセラーには相談していない)」が12.7%、「診察を受けたことも,カウンセラーに相談したこともある」が6.3%、「カウンセラーに相談したことがある(医師の診察は受けていない)」が4.9%だった。医師の診断を受けたりカウンセラーに相談したことがある人の割合は23.9%と、約4人に1人である(図2)。

図2●医師やカウンセラーに相談したことがありますか(有効回答数3933人)
図2●医師やカウンセラーに相談したことがありますか(有効回答数3933人)