未来へ向けた取り組み、サービスロボット、AR、サイネージがAndroidで連携

 基調講演で異彩を放っていたのは「Future Systems WG(Working Group)」の発表「DENSUKEプロジェクト」である。

 写真5がDENSUKEプロジェクトの説明図である。中心に置かれているのは、ペット型のサービスロボット「DENSUKE」。Android搭載のサービスロボット、AR(拡張現実)、Android搭載のデジタルサイネージ、タブレット型デバイスなど要素技術を組み合わせ、どのような未来が可能となるのかのビジョンを形にしたムービーを上映した。これらの要素技術を結ぶ軸がAndroidである。

写真5●DENSUKEプロジェクトの構想
構想の中心に「ペット型サービスロボット」を置くことで、普段見慣れている「スマート中心の未来像」とは違う角度で各種技術を展望できる
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 DENSUKEプロジェクトのメンバーであるインタラクティブブレインズの武田政樹氏(会長兼CTO兼チーフクリエイター)は、「ロボット、AR、モバイル機器向け3Dグラフィックス、クラウド技術など、個別の技術だけでなく、それらを組み合わせたビジョンを提示したい」と話す。  これら未来へ向けた要素技術は、個別に開発が進んでいる。例えばサービスロボットは、研究や製品化の蓄積が進んでいるが、「何に使うのか」という決定的な用途を見いだせないでいる。スマートフォンは、カメラ、加速度センサー、GPSなど複数のセンサーを搭載し、情報収集に有効な「センサー・ハブ」と呼ばれることがある。そしいてロボットにも、スマートフォンと同様に各種センサーを搭載可能であり、しかもスマートフォンと違いロボットは自律的に行動できる。上映したムービーでは、この特性を活用して、家庭内でのモニタリング端末や、親しみやすい情報端末としての使い方があるのではないか、というビジョンを示した。

 またAR(拡張現実)、デジタルサイネージ、タブレット型デバイスやスマートフォンを組み合わせれば、何ができるだろうか。街角に設置されたデジタルサイネージ・デバイスから情報を受け取った上で、デバイスの持ち主であるユーザー別にカスタマイズした情報を、ARを活用して提供できるのではないか。

 同プロジェクトの展示ブースでは、ロボット・メーカー近藤科学のロボットが置かれていた(写真6)。「もちろん他のロボット・メーカーとも協業したい」(武田氏)。

写真6●DENSUKEプロジェクトの展示から
プロジェクトの構想に登場するロボットの要素技術の多くは、市販のロボットなどで実現可能である
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