マーケットプレース構築SDKを発表

 今回のイベントの一つの目玉が、マーケットプレース構築SDK(開発キット)である(発表資料)。この2010年6月に公開予定の組み込みシステム向けAndroidである「Embedded Master2(EM2)」に含める形で公開する予定だ。

 マーケットプレースSDKは、サービス運営者が、Android搭載機器向けにソフトウエアやコンテンツを販売するマーケットを構築するための枠組みを提供するものである。Android搭載機器向けの各種APIの実装と、サーバーとの通信のためのインタフェース定義を提供する。

 基調講演では、このマーケットプレースでコンテンツやアプリケーションを購入するデモンストレーションを見せた(写真3)。

写真3●マーケットプレース構築SDKのデモンストレーション
SDKを使って試作したマーケット・アプリケーションを、Android搭載セットトップ・ボックス上で動作させている
[画像のクリックで拡大表示]

 有料コンテンツや有料アプリケーションの販売に必要となる機能群、例えば課金やアクティベーション処理などのAPIと実装を提供する(写真4)。さらに、DRM(デジタル著作権管理)ソフトウエアを組み込むための仕組みも提供する。なお、DRMそのものや、サーバー側ソフトウエアは、「事業者ごとのニーズの違いが大きい」ことからSDKには含まれない。インタフェースだけを提供する。

写真4●マーケットプレース構築SDKが提供するAPI群
Android搭載機器上のAPIと実装(ソフトウエア)を提供する。サーバー側は通信インタフェースだけを定義する。APIを共通化することで、異なるマーケットプレースを横断的に扱える可能性が出てくる
[画像のクリックで拡大表示]

 このようなSDKが出てくる背景として、米Googleは、「Androidマーケット」のクライアント・アプリケーションをスマートフォン以外のAndroidデバイスに載せない方針のため、例えばセットトップ・ボックス、MID、電子書籍リーダーなどスマートフォン以外のデバイスに関しては、メーカーが独自にアプリケーション・マーケットを作る必要があるという事情がある。先行して市場に出ているMIDなどでは、各メーカーがそれぞれアプリケーションのマーケットプレースを構築している状況である。

 各社各様のマーケットが乱立するよりも、共通のAPIに基づく複数のマーケットがあり、それらを横断的に検索したり統合したりするサービスが登場する方が、ユーザーの利便性を高める上ではより望ましい。今回のマーケットプレース構築SDKが目指しているのは、そのような世界である。