「ベータ版」のままWeb版のフル機能を実装

 「twiccaは、僕の習作。リリースが頻繁なのはバグが多い証拠です(笑)」と青山氏は照れる。使ってみればすぐ分かるが、このTwitterクライアントにはなみなみならぬ情熱が注がれている。作り始めてから11月22日にリリースするまで3カ月間かけたが、その間「3回、全面的に作り直しました」とも話す。

 twiccaのバージョンには「ベータ」が付いているが、完成度は高い。Twitterクライアントに求められる機能は網羅している。最初のtwiccaのリリースの後にTwitterに加わった公式RT、リスト、ローカルトレンドの各機能にもきちんと対応している。それだけでなく「フォローされているか否か(フォロわれ)の判定」や(写真5)、「ブロックしたユーザーの一覧」など、他のTwitterクライアントでもなかなか実装されていない機能を搭載している。Twitterクライアントの機能群の中でtwiccaにない機能は、マルチアカウントぐらいしか思い当たらない。

写真5●プロフィール画面
「フォローしている」ことの表示だけでなく「フォローされているか否か(フォロわれ)」を矢印状のアイコンで表示している
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 「Web版の本家Twitterにできることが全部できて、初めてTwitterクライアントを名乗れると思う」。そう青山氏は話す。「twiccaの最後の“a”はAndroidのaなんです。これをAny(なんでも)のaにしたい」。

 青山氏は、Web版の本家Twitterの操作性に似せてtwiccaを作った。言われれてみれば、twiccaの挙動はWeb版Twitterとよく似ている。タイムラインを下まで読み切ったとき、より古いタイムラインを動的にローディングする仕様など、Webのような作りだ。

情報量にこだわる

 twiccaで目を引くのは、独特のデザイン感覚である。twiccaは他のどのTwitterクライアントとも似ていないが、ある一貫したポリシーで作られている。

 青山氏は、twiccaのプログラミングとデザインを、すべて1人で行っている。デザイナとプログラマの両方の職歴がある氏ならではの兼任である。

 twiccaのデザインで気を配ったのは「情報量を多く」ということだった。

 例えば、Android向けTwitterクライアントとして有名なソフトとしてTwidroidがある。Twidroidは、メニュー用の領域が画面の下端に置かれている。このような画面配置を取るTwitterクライアントは多いが「これは良くない。メニューのためにタイムラインが隠されて、情報量が減る」と青山氏は考えた。「タイムラインをなるべく長く、多く表示したかった」。

 twiccaにも、画面の下端に操作用のアイコン類を並べたメニュー領域がある。だが、そのメニュー領域の余白は透過になっていて、下からタイムラインの一部が透けて見える(冒頭の写真1を参照)。ボタンに隠れる部分もあるため全部は見えないが、画面をスクロールするさい、次にどのようなツイートがやってくるのかが予想できる。使い勝手としては、画面が広くなったのときわめて似た効果がある。