米アップルが4月3日(米国時間)に発売したタブレットパソコン「iPad」は、企業にとっても有望なクライアント機になりそうだ。国内でもiPad向けの企業用コンテンツを、いち早く提供する企業が登場。アップル自身も企業向けの導入支援ガイドや、「iPad対応Webサイト」の一覧などを公開して普及を促す()。

図●「iPad」発売と同時に、企業向けの情報も充実してきた<br>米アップルは企業向けの導入支援ガイドや、「iPad対応Webサイト」の一覧などを公開した
図●「iPad」発売と同時に、企業向けの情報も充実してきた
米アップルは企業向けの導入支援ガイドや、「iPad対応Webサイト」の一覧などを公開した
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 アップルのオンライン販売サイト「App Store」。iPad発売と同時に、企業向けアプリケーションが増えている。「Pages」などアップル自身が提供するオフィスソフトのほか、CRMやスケジュール管理などだ。米グーグルは「Gmail」をiPad向けに調整。iPadからアクセスすると、画面サイズなどをiPad向けに変更したGmailを自動的に使えるようになる。

 4月下旬の販売を見越して、日本国内でもiPad向けアプリケーションを提供する企業が登場している。ベンチャー企業のキバンインターナショナルは、同社のeラーニングシステム「SmartBrain(スマートブレイン)」のiPad版を発売開始した。元々iPhone向けなどに提供していたシステムで、教材コンテンツの配信や管理、学習履歴管理などの機能を備える(教材開発ソフトは含まない)。

 「iPadは既存のタブレット型コンピュータに比べ、薄さや軽さ、堅牢性が優れており、形状も使いやすい。利用環境や利用条件が過酷でない用途に、導入の可能性が高いとみている」。ガートナー ジャパンの蒔田佳苗主席アナリストは、企業利用の見通しをこう説明。小売業の受発注や電子カタログ、教育市場などに有望とみる。

 「iPadを企業へ」。米アップルはiPad発売と同時に、こんなWebページを公開した。メールやスケジュール管理といった企業向けアプリケーションの紹介、通信やセキュリティの設定方法を紹介した導入支援ガイド「エンタープライズ導入シナリオ」などだ。

 例えば導入支援ガイドでは、マイクロソフトのグループウエア「Exchange Server」のクライアントとしてiPadを使うための、設定方法を紹介している。簡単な通信設定などを施すだけで、電子メールの送受信やスケジュール管理が可能になるとする。LDAP認証やVPN接続といった通信・セキュリティの設定方法も解説している。

 アップルの狙いは、セキュリティを懸念する企業に対して、一般的なクライアント端末としてもiPadは問題なく使えるとアピールすることだ。導入支援ガイドの内容は、無線通信をするモバイル機器で実施するべき、ごく一般的な設定作業。「iPadはインターネット標準を一通り備えている。企業利用のハードルは高くない」。アップルはこう訴えて、導入を後押しする考えだ。