“黄金周波数帯”とも言われる700M/900MHz帯の再編議論が白熱している。周波数の割り当て幅の最大化を求める携帯電話事業者と,国際協調を唱える大手ベンダーの間の隔たりが表面化しているからだ。総務省はタイムフレームを分けて再編を進めることで,両者の一致点を探ろうとしている。
700M/900MHz帯の周波数再編に関する議論(関連記事)で,携帯事業者と大手海外ベンダーの意見の相違が表面化してきた。2010年の2月中旬から3月初めにかけて,総務省の「700/900MHz帯移動通信システム作業班」(以下作業班)が開いた会合で,携帯電話事業者やベンダーがそれぞれの考えを示したが,その主張は大きく二つに割れた(表1)。
携帯各社と海外ベンダーで意見対立
具体的には,NTTドコモ,KDDI,ソフトバンクモバイル,イー・モバイルの携帯4社は,700M/900MHz帯の割り当てを希望する。LTE(long term evolution)などFDDシステムでの利用を基本とし,ガードバンドをできる限り狭くして割り当てる周波数帯を最大化すべきとした。モバイルWiMAXを展開するUQコミュニケーションズも,モバイルWiMAX向けに割り当てを希望している。
これに対し海外大手ベンダーのクアルコムジャパン,ノキア シーメンス ネットワークス,モトローラの意見は,「周波数割り当ての国際協調が必要」というもの。例えばクアルコムジャパンは,検討対象の700M/900MHz帯は世界のどの国とも調和が取れておらず,「このままでは日本が孤立する恐れがある」と指摘する(図1)。そこで検討中の700M/900MHz帯周辺の割り当て変更も進め,700MHz帯はアジア太平洋地域の無線関連の標準化団体である「AWF」(APT Wireless Forum)で議論されている案に合わせるべきとした。900MHz帯も欧州を中心に国際的な広がりを見せている「UMTS900」に合わせる案を示した。