2010年度に適用するNTT東西のドライ・カッパーや専用線などの接続料が2010年3月1日に認可された。NTT東西が2009年12月に認可申請していたもので,2009年度は月額1300円台前半だったドライ・カッパーの事業者向け料金を,同1400円台前半に値上げするという内容だった。これに対してKDDIやソフトバンクらNTT以外の通信事業者は猛反発。1月に「接続料金の凍結」を総務大臣に求める事態になっていた。

 しかしこうした抵抗にもかかわらず,その後の情報通信審議会による審議は予定通りに進行。あらかじめ決められた計算式に沿った申請かどうかをチェックするだけにとどまった。ドライ・カッパーについては,ユーザー数の減少に伴って不要になった設備など,原価の一部を省く再計算を要請し,これを受けたNTT東西の補正申請の結果は,そのまま認可された。

 補正申請によって,料金は月額1300円台後半に落ち着いたが,他事業者が求めていた接続料金水準の凍結には,ほど遠い結果である。KDDI,ソフトバンクなど19社は連名で2回目の算定見直しの要望を提出したが,結論にはほとんど影響は無かった。

 この議論が進まないのは,ユーザー数が減少する一方の電話網を,NTT東西がどのように,いつまで維持するかを明らかにしていないからだ。情通審は答申の中で,NTT東西に「電話網からIP網への移行についての展望を,早期に積極的に開示するように」と要請した。いまのところNTT東西は「2010年度中に方向性がまとまった時点で公表する」という従来通りの説明を繰り返している。だが,外部からの移行手段提示を求めるプレッシャーは確実に高まっている。