写真1●MINDインターネットデータセンタの統合運用管制センタ
写真1●MINDインターネットデータセンタの統合運用管制センタ
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 1995年の兵庫県南部地震発生後、三菱電機情報ネットワークは考えた。情報システムを守るため、都市にはもっと堅牢な建屋が必要だと。そこで開設したのがMINDインターネットデータセンタである。現在、東名阪の都市に計5カ所のデータセンターを所有。ネットワークサービス、ハウジング/ホスティングサービス、アプリケーションサービスなどを展開している。ここでは東京の3拠点の特長を中心に紹介する。

3つのデータセンタがそれぞれに個性的

 東京第1データセンタの最大の特徴は、グローバルネットワークが敷設されており、ここが多くのグローバルキャリアのハブ拠点となっているということである。このネットワークは国際的に有名なのだそうだ。鈴木壽明氏(セキュリティ・プラットフォームサービス事業部 副事業部長)は、次のように語る。

 「国際放送の電送経路とされたり、日本進出を決定した外資系企業が日本での拠点を探す際、当データセンターに入居しているグローバルキャリアが推薦してくれたりする。実は、日本より世界での方が認知度は高い」。

 一方、東京第2インターネットデータセンタは、同社がデータセンター事業開始時に目指した“堅牢な建屋”というコンセプトを最も具現化した拠点だ。既設の倉庫を改造して積載荷重2000kg/平方メートルを実現した。標準ラックには1Uサーバが40台強入るが、めいっぱい設置した状態で約1トンになるという。2000kg/平方メートルとは、これをずらりと1列に並べても耐えるというスペックだ。実際には電力供給を考慮する必要があるが、ブレードサーバーによる高集積化のニーズが高まっている今日、この仕様は歓迎されている。

 また倉庫ならではの階高を利用することで、気流分離技術という冷却効率の高いフロア設計が可能になっている。これは、ラックの背面から排出される暖気を天井裏に抜いて、冷気と暖気が混じり合わないようにするというものだ。実現するには天井裏に十分な空間が必要であるため、オフィスビルでは難しい。気流分離技術は、東京第3インターネットデータセンタでも採用されている。

 東京第3インターネットデータセンタには、第1、第2で培ったデータセンター運用ノウハウを注ぐと同時に、最新のデータセンターニーズに対応する形で新築した。ビル全体を免震構造とするとともに、冷却効率の高い空冷式空調機などの導入で、電力供給効率を上げた。また、高電圧配電、高効率低発熱UPSなども、製造業の三菱電機グループであるが故にこだわって導入したものだという。さらにここでは、太陽光発電システムを導入して、ラックへの電力供給の一部に利用している。

運用担当者に複数のスキルを要求

 運用担当者のアサインには気を配っている。顧客に外資系企業も多いことから、グローバルな運用監視が求められるが、どのデータセンターにも24時間英語で対応可能なオペレータが常駐しているという(写真1)。また、同社の運用担当者には、サーバー、ネットワークなど複数の技術分野のスキルを持つこと、かつ直接顧客との連絡を担当するためのコミュニケーション力の高さも要求しているそうだ。

ワンモア・ポイント
 データセンター内工事が短納期というのが、密かな人気だ。グループ内で工事事業者を調達可能であるため、サーバー移設から、ラック構築、ネットワーク工事、電源工事に至るまで、迅速に手配、施工できる。簡単な工事なら最短で中1日というケースもあるとか。

基本情報
●名称:MINDインターネットデータセンタ
●場所:東京23区に3カ所(品川区、大田区、江東区)、中部に1カ所(名古屋市中区)、大阪に1カ所(大阪市福島区)
●最寄り駅:要問い合わせ
●料金:1ラック月額17万円~(税別)