タッチ操作のWeb閲覧専用機であるタブレットに対して、キーボードを備えて文書作成などの用途にも使えるようにしたパソコンがネットブックだ。5万円台からという低価格が人気を呼び、ノートパソコン市場成長の牽引役となった(図3)。

図3●ノートパソコンの出荷台数実績と予測(出所:米ディスプレイサーチ)
図3●ノートパソコンの出荷台数実績と予測(出所:米ディスプレイサーチ)
ネットブックについては、成長は鈍化するものの引き続き高い伸び率を示すと予測する

 2010年にはネットブックにも大きな変化が起こる。最低限のハードウエア仕様と軽快な操作性を備えた製品が、相次いで登場するからだ。

ネットに特化する第二世代ネットブック

 こう書くと「もともとネットブックはそんな製品ではないか」と思うかもしれない。ところが現在のネットブックは性能がどんどん上がり、ネットにつながなくても十分に使えるスペックを持ち始めた。中・上級機には及ばないものの、「普通」のノートパソコンにどんどん近付いているのだ。

 2007年ごろに初めて登場したネットブックは、ネット利用に特化したという触れ込みでハードの仕様は最低限度。台湾アスースの初代「Eee PC」は、内蔵ディスクがわずか2G~8Gバイト、画面の大きさは7インチだった。その後は各社がスペックアップを重ね、今では内蔵ディスク160Gバイト、画面は10インチ超が主流。メモリーも2Gバイトを搭載している。

 現行のネットブックを第一世代とすると、2010年に新しく登場するものは、ネット特化をより推し進めつつ原点回帰を果たした第二世代と言うべき製品だ。ネット接続がほぼ必須で、電源を入れると数秒以内に起動して、Webアプリケーションを使えるようになる。

 第二世代ネットブック分野の最注目株は、米グーグルだ。同社がオープンソースとして開発中の「Chrome OS」を搭載したネットブックが、今年秋にも登場する見通しである。

 「Chrome OSの開発コンセプトは、スピード、セキュリティ、シンプルさの三つ。これらを念頭に、完全にWebアプリケーション利用に特化したOSを開発する」。グーグル日本法人の及川卓也シニア エンジニアリング マネージャーは、Chrome OSの開発方針をこう説明する。