子パーティション:ハイパーバイザー非対応のレガシーゲスト

 本連載第1回 図1の3番目のパーティションは、ハイパーバイザーに対応していないレガシーなゲストOSである。Hyper-VがサポートしてないすべてのOSは、このタイプのゲストOSである。

 このタイプのゲストOSに対しては、統合サービス、つまりVSCコンポーネントは提供されない。そのため、仮想マシンは、Virtual PCやVirtual Serverと同じように、エミュレートされたデバイスを使用することになる。標準では、IDEデバイスとVESA互換グラフィックス、PS/2キーボード、マウスのエミュレーションが提供される。仮想マシンバスは「不明なデバイス」(Windowsの場合)として検出され、統合サービスが提供するSCSIコントローラーやネットワークアダプターは検出すらされない。

 Hyper-Vが仮想マシンに対して提供する標準のネットワークアダプターは、統合サービスに依存するものである。そのため、このタイプのゲストOSに対してネットワーク機能を提供するために、Hyper-VにはDEC(Intel)DC21140Aをエミュレートする「レガシーネットワークアダプター」が用意されている。レガシーネットワークアダプターは、OSのインストール中やインストール前、あるいは修復環境など、統合サービスが利用できない環境の仮想マシンに対してネットワーク機能を提供するために使用することもできる。

 なお、Hyper-VのゲストOSサポートは、ゲストOSとしての動作の可否を示すものではない。たとえば、Windows NT Server 4.0は、すでにプロダクトライフサイクルが完了しており、いかなる環境においてもサポートされないOSであるが、ハイパーバイザー対応のゲストOSとして、エミュレーション環境で動作させることが可能だ。同様に、ほとんどのLinuxディストリビューションを、エミュレーション環境で動作させることができる。