アクトビラのプラットフォームで提供していた動画配信サービス「TSUTAYA TV」が、2010年2月にアクトビラから独立し、再出発した。さらに3月1日には同事業のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)からトップ・パートナーズへの譲渡に伴い、運営会社が事業会社TSUTAYA TVに切り替わった。

 動画配信サービスをアクトビラから独立させた背景には、プラットフォームの枠を超えて、よりオープンにプロモーションやサービス展開をしたいというTSUTAYA TV側の狙いがあったという。サービス開始当初からTSUTAYA TVの運営を取りまとめてきた渡邉健TSUTAYA TV執行役員COOは「アクトビラを否定するつもりはない」と前置きした上で、独立を選んだ理由を説明した。

 両者は、ショッピングモール「アクトビラ」内に出店する一店舗「TSUTAYA TV」といった関係にあった。家電量販店などで行うサービスのプロモーションでは、まずモールであるアクトビラが前面に出るのが常で、TSUTAYA TVやそのほかの店子はどうしてもその影に埋もれてしまいがちだった。駅前などで店舗を見かけるDVD/CDレンタル事業の「TSUTAYA」といえば、約3400万人の会員を抱える強力なブランドである。しかし、TSUTAYA TVのプロモーションに当たっては、このTSUTAYAブランドを十分に生かせていなかったと振り返る。

 サービス展開においても、アクトビラを利用するがゆえの不自由さがあったという。CCCはオンラインショッピングの「TSUTAYA online」や、レンタル商品をWebで注文して宅配便で受け取る「TSUTAYA DISCAS」などのネット関連サービスも運営している。デジタルテレビ向けのサービス「TSUTAYA TV」がこうしたネットサービスと連動できれば、テレビで「TSUTAYA online」や「TSUTAYA DISCAS」を利用するといった提案も可能になる。しかし実際は「規約上アクトビラ内のサービス同士でしか連携できず、インターネットサービスと組み合わせた提案ができなかった」という。

 こうした理由から、CCCは2010年2月に予定されていたアクトビラとの契約更新を見送り、独自サービスとして展開する道を選んだ。当初は独立と同時に2月から事業会社のTSUTAYA TVがサービスを運営する予定だった。しかし、サービス運営をCCCからTSUTAYA TVに切り替えるに当たり、コンテンツプロバイダーとの契約更新作業に時間がかかったことから、アクトビラからの独立と事業譲渡のタイミングが1カ月ずれた。

 今後アクトビラとは独立した立場になるものの、新しいテレビの使い方を開拓するという点では引き続き協力できることはあると考えている。「動画配信市場そのものがまだ立ち上がっていない。市場拡大のために、ネット接続率向上や利用促進などのプロモーションで協力したい」という。また動画配信サービスの技術仕様については、両者で共通化することで機器側の対応が容易になるなどのメリットがある。そのため今後も共通仕様でサービスを継続できるよう、「業務提携なども含めた協力体制を築きたい」と述べた。