サーバーの仮想化を簡単に言うと、本来1対1の関係にある物理的なハードウェア(主にプロセッサ)とOSを、1対多にするテクノロジである。別の言い方をすれば、1台の物理的なハードウェア上に、複数の仮想的なコンピューターを作り出し、それぞれにOSやアプリケーションをインストールして、同時実行するテクノロジだ。

 Hyper-Vは、Windows Server 2008 R2に標準で組み込まれた、ハイパーバイザーベースの仮想化テクノロジである。Hyper-Vの最初のバージョンHyper-V1.0が登場したのはWindows Server 2008からであるが、Windows Server 2008 RTMに含まれていたのはプレリリース版であった。Hyper-V1.0は、Windows Server 2008から約4か月遅れて、2009年6月末に正式にリリースされ、追加提供されたのである。Windows Server 2008 R2には、新しいバージョンのHyper-V2.0が初めから組み込まれている。

 では、Windows Server 2008 R2に組み込まれているHyper-Vのアーキテクチャーについて、詳しく見てみよう。図1は、Hyper-Vのアーキテクチャーの全体像を示したものだ。

図1●Hyper-Vのアーキテクチャー
図1●Hyper-Vのアーキテクチャー
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