IS01:フルキーボードと大型画面、PDAの系譜に連なる「スマートブック」

IS01

 KDDIが発表した「IS01」は説明が難しい機種である。「スマートフォンではない」と説明した方が誤解が少ないのではないだろうか。もちろん、電話機能は備えているし、報道発表文のタイトルにも「スマートフォン」という言葉は入っているのだが、発表文の本文では「スマートブック」と記載されている。

 スマートブックは、Qualcommらが推進するインターネット端末を指す言葉で、米IntelのAtomプロセッサ搭載の「ネットブック」へ対抗する意味が含まれている。携帯電話向けにチップセットを採用しながら、フルキーボードや大型ディスプレイを備え、低消費電力の小型パソコンのように使える。

 スマートブックとして発表された機種の多くは、ネットブック並みの寸法なのだが、IS01は、本体寸法83×149×17.9mm3、重量227gときわめて小さい。搭載するタッチパネル付き液晶は5インチ、960×480画素(フルワイドVGA++)と独自のもの。キーボードの幅は11.2mm。これはパソコンというよりPDA(Personal Digital Assistant)である。シャープがこれまでに作ってきたLinux搭載の「Zaurus SLシリーズ」(いわゆるLinux Zaurus)や、Ubuntu Linux搭載「NetWalker」の系譜に連なるデバイスと考えた方がわかりやすい。

日本的「ケータイ」を意識したワンセグと赤外線対応

 IS01は、日本的な「ケータイ」との連携を強く意識している。赤外線による通信機能、「ワンセグ」視聴機能を備え、2010年8月にはケータイ・メールにも対応する予定だ。これらの機能はAndroid搭載端末としては初めての機能である。なお、KDDIから今後登場する「1台目」を狙ったAndroid端末では、「おサイフケータイ」機能も搭載する予定という。

 IS01で特筆すべき点はまだある。Android 1.6を搭載するが、ユーザー・インタフェースにカスタマイズを施している。デザインはスウェーデンのOcean Observationsが担当した。また、独自のウィジェット・フレームワークを搭載する。もちろん多くのAndroidアプリケーションが動くが、IS01専用のアプリケーションやウィジェットも多数登場し、独自色が強い端末として利用者に受け止められるだろう。頓智・ (トンチドット)も、IS01専用の機能を含んだ「セカイカメラ」のAndroid版をIS01に搭載する予定だ。

 IS01は、携帯電話から買い換えるべき機種ではない。電話とは別に、もう1台のネット端末として買うことを想定した端末である。どのケータイより大きな5インチのディスプレイと、11.2mmキーピッチという小さなフルキーボードの組み合わせは異例だ。この機種を見ていると、移動中や旅行中にTwitterの投稿やメールのやりとりに利用したり、動画コンテンツを視聴するといった使い方が思い浮かぶ。それは、iPhoneのようなスマートフォンとはまた違う使い方である。以前のPDAのように、特定のユーザーから強く支持される端末になるのではないかと想像する。