小川 大地
日本ヒューレット・パッカード

 サーバー仮想化ソフトのVMware vSphere 4は、ハイパーバイザー「VMware ESX」と各種の拡張ツール群で構成される。今回は、拡張ツール群の「VMware vCenter Server」を中心に、VMware vSphere 4の運用管理面における新機能を解説しよう。

 前回はVMware vSphere 4のパフォーマンスとストレージ関連の新機能を紹介したが、今回は、拡張ツール群の「VMware vCenter Server」を中心に、VMware vSphere 4の運用管理面における新機能を解説しよう。VMwareの仮想環境にVMware VMotionやVMware HA(High Availability)などの付加価値を実現するものだ。

ホストプロファイルでホストを効率展開

 ESXホストの台数が多くなると、それに合わせて管理者の負担も増えてくる。例えば、ESXホストを追加する場合、時刻同期やファイアウォールおよびネットワーク構成などについて、既存環境と照らし合わせながら一つずつ同じ設定をしていくはずだ。また、こういった共通パラメータに変更が入れば、すべてのESXホストに再設定作業が必要となる。つまり、システム規模が大きくなり、ESXホストが増加するにつれて、「1台だけ設定し忘れた」などのオペレーション・ミスの危険性も高まってしまう。

 こういった管理者の負担を軽減する新機能が「ホストプロファイル」である。あるESXホストの設定情報をマスタとしてテンプレート化し、他のESXホストにコピーする機能だ。仮想マシンのテンプレート・デプロイ機能をイメージすると分かりやすいかもしれない。

 ホストプロファイルを利用すれば、前述の「ESXホストの追加増設」や「一部の設定変更」などの場合も、マスタから設定情報をコピーするだけなので、オペレーション・ミスを招く心配がない。また、テンプレート内の設定情報と現状の差異をリストアップする機能も備えているため、ファイアウォールなどのセキュリティ設定をテンプレート化しておけば、誤ってコンプライアンス違反となる設定がされていないか逐次把握することができる(図1)。

図1●「ホストプロファイル」ではテンプレート内容と矛盾するホストを検出できる
図1●「ホストプロファイル」ではテンプレート内容と矛盾するホストを検出できる
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 なお、テンプレート化された設定情報はvCenter Serverのデータベース内に保存される。また適用に当たり、適用対象のESXホストはメンテナンス・モードへの移行(設定個所によっては再起動)が必要となる。