先日開催されたMIX10で、米Microsoftはようやく次期スマートフォン向けOS「Windows Phone 7」について詳細を明らかにした。だが、現時点におけるMicrosoftの主要スマートフォンOSはあくまでWindows Mobileである。Windows Phone 7が正式に登場する2010年末あるいは2011年まではWindows Mobile 6.5となる。Microsoftにベンダーやユーザーはどう接していけばいいのだろう。

Take1:Mozilla、Windowsスマートフォン用Webブラウザの開発を断念

 これまで実質的にモバイル機器向けWebブラウザを正式提供したことのない米Mozillaだが(例外はほとんどユーザーのいないフィンランドNokiaのインターネット端末「N900」向けに最近リリースした「Firefox for Mobile」。関連記事:Mozilla、Maemo対応の「Firefox for Mobile」正式版をリリース)、2010年3月第4週に「『Windows Mobile』とこれから登場する『Windows Phone 7 Series』用のWebブラウザ開発を打ち切る」と発表して話題を呼んだ。そして、Windows Phone 7に対応しない理由として、Mozillaは「ネイティブ」アプリケーションが利用できないことを挙げた。

 「自らの延命策となるモバイルWebブラウザを提供する能力がMozillaにはない」という明らかな状況について今回は触れず、ほかの事情について書こう。Mozillaの社員は、自分たちの生まれるより前に作られたプログラミング言語でしかアプリケーションを開発できないのだ。Mozillaは、時代後れの統合されていない環境を使い、35年以上前に作られたCやC++でプログラミングすることを望んでいる。

 ところがWindows Phone用アプリケーションは、最新の整備された「Silverlight」環境でC#と.NETを使って作る。したがって、近代的なプログラミング体系をきちんと理解している開発者なら、Windows Phoneでもうまく作業できる(関連記事:[MIX10]Microsoft がWindows Phone 7の開発者向け情報を発表、配布方法などの管理を強化)。

 別の言い方をしてみよう。Mozillaの今回の発表は「自分たちの立場を理解していない」といったようなものだ。我々は同社の今後をそのように見ているが、Mozillaの関係者は分かっていない。そしてモバイル市場ではWebが盛り上がりつつあるのに、Mozilla は蚊帳の外である。

Take2:Microsoft、「我々はWindows Mobileを見捨てない」

 MicrosoftはWindows Mobileを見捨てるべきだろう。完成度が極めて低く統一感のない Windows Mobileを渋々仕事に使っている同社の企業ユーザーは、こうしたアプリケーションが次期OSのWindows Phone 7で使えないと知り大きなショックを受けた。そこでMicrosoftは、当面Windows Mobile 6.5のサポートに力を注ぐ方針となった。

 企業向けモバイル市場の重要性は認めるが、これまでこの種の企業に尽くしてもWindows Mobileへの大量移行という成果は得られていない。

 現在この件を気にする必要はあまりないだろう。Microsoftは果敢にチェンジした方がよい。Windows Mobileは思い切って葬り去ろう。