開発者から見て、iPhoneとAndroidはどう違うのか。ITproの記事を読むためのiPhoneアプリAndroidアプリを開発し、「オール・イン・ワンiPhone開発」と「Androidで広がる、携帯アプリ開発の世界」とを執筆したアシアルが両者の違いを解説する連載。今回は、「UI(ユーザーインタフェース)」の観点から両者を比較する。

新たなユーザー体験をもたらしたiPhone

 iPhoneのUIは、現在Mac OS Xで全面的に採用されているGUI、「Aqua」をベースとしている。繊細で美しいビジュアルと、流れるようなアニメーションが特徴だ。タッチパネルでの操作を基本とし、とりわけマルチタッチディスプレイが採用されたことは、従来の携帯電話にはない新たな体験をユーザーにもたらした。今となってはすっかり定着した感のある「ピンチ」という言葉は、2本指でつまむようにして拡大・縮小する時の操作を総称して指すが、これもまさにマルチタッチならではの発想と言えるだろう。

 iPhoneのホーム画面の構成はとてもシンプルだ。ずらりと立ち並んだアプリケーションのアイコンを指で軽くタップすることで、アプリケーションが起動する仕組みとなっている。ユーザーは通常、このホーム画面を起点にして、必要なアプリケーションにアクセスする。ディスプレイの下に唯一備えられた「ホーム」ボタンを押すことで、いつでもホーム画面に復帰することができる。

iPhoneホーム画面の表示

iPhoneのUIをデザインするInterface Builder

 アプリケーションのUI設計には、Xcodeに付属するツール「Interface Builder」が主に使われる。画面の構成要素となるオブジェクトをドラッグ&ドロップで配置し、色や大きさなどを視覚的に編集できるのが特徴だ。デベロッパはこのツールを使って、アプリケーションに必要なUIをグラフィカルに設計することができる。もちろん、UIの設計にInterface Builderを用いる必要は必ずしもない。部分的にコードを書いて対処することもできるし、Interface Builderを使わずに全部コードだけで設計することもできる。

Interface Builder