こうした端末提供と並行して,今後,活気付きそうなのが,Androidプラットフォームに向けたアプリケーション・マーケットである。端末を販売する事業者の多くが,米アップルの「iPhone+App Store」と同様のサービス提供を目指している(図1)。
例えばドコモは,4月のXperia発売時期に合わせて,「ドコモマーケット」を立ち上げる(図2)。当初はアプリの紹介にとどまるものの,2010年内には有料アプリの販売も始める。アプリケーションの代金は,携帯電話の利用料と合わせて徴収する。KDDI,NECビッグローブ,NTT東日本も,同様の課金・回収代行を含むアプリの配信サービスを開始する。

このほか,Androidを使った組み込み機器の開発を推進する業界団体のOESFも,メーカーが個別運営でアプリ配信できるようにするソフトウエアの開発を進めている。
利便性を高めてユーザーを引き寄せる
Android向けのアプリケーション・マーケットとしては,米グーグルが運営する「Android Market」がある。にもかかわらず各社がアプリ配信サービスを手掛ける理由は,「オープン化されたAndroidでは,端末の機能による差異化は,いずれ難しくなっていく。そうなれば通信事業者としては,違うレイヤーでどう勝負するかを考えざるを得ない」(KDDIの重野部長)という思いがあるためだ。
それぞれ自前のマーケットを立ち上げ,スマートフォンの使い勝手を改善すると同時に,アプリ開発者を呼び込む。これにより最終的にはユーザーの利用頻度を高め,顧客離れを防ぐ。
ドコモの山田社長は,「グーグルのAndroid Marketには世界から数多くのアプリが集まっている。ただ,説明文に英語が混ざっているなど,日本人にはなじみにくい部分がある」とする。そこでドコモマーケットでは,Androidを利用するうえで便利な定番アプリを抽出し,初心者にも分かりやすく紹介する。さらに「日常生活の中で利用する頻度が高いスマートフォン向けのWebサイトも紹介していく」(山下哲也スマートフォン事業推進室アプリケーション企画担当部長)。アプリとWebサービスの両輪で“Android版iモード”というべきサービス配信の基盤を作り上げようというわけだ。