既存携帯の機能をスマートフォンにも搭載

 一方,KDDIは2010年初夏にAndroid端末を投入する。スマートフォンの販売数を伸ばすために何が必要なのかを独自に調査し,「日本の携帯電話で日常的に利用されている,生活に不可欠な機能を搭載する」(重野卓コンシューマ商品統括本部オープンプラットフォーム部長)という結論に至った。端末の詳細については明らかではないが,FeliCaやワンセグといった,現状のスマートフォンに搭載されていない機能が加わると見られる。

 ソフトバンクは,2010年春に3.7インチの有機ELディスプレイと1GHzのCPUを搭載したAndroid端末を投入することを明らかにしている。孫正義社長は「Androidは素晴らしいプラットフォームで,着実にその勢力を拡大していく」とする。将来はAndroid端末の比率が拡大し「従来型の携帯電話機の販売が厳しくなるのではないかと危惧している」(孫社長)ほどだ。

 現在,ソフトバンクは人気のiPhoneを取り扱っている。ただ,「今後は,複数の通信事業者がiPhoneを取り扱う可能性がある。それを考えれば,ソフトバンクにとってAndroid端末投入は必然だ」(シティグループ証券の山科拓株式調査部アナリスト)。

iモードとネット・サービスの便利さを融合
山下 哲也
山下 哲也
NTTドコモ スマートフォン事業推進室 アプリケーション企画 担当部長

 Android端末はiPhone対抗だろうと言われることがあるが,そうは考えていない。AndroidとiPhoneは成り立ちが違っている。次元の違うものを比べても意味がないだろう。iPhoneは米アップルが発明した単一の完成された製品。これに対してAndroidは完成品ではなく,製品を作り上げるための“素材”だ。通信事業者やメーカーが切磋琢磨しながら,様々なAndroid端末や関連サービスを開発する。それだけに,大きな可能性を持っている。

 Android端末をはじめとするスマートフォンを単なる新カテゴリの製品と見る人もいるかもしれないが,そうではない。ユーザーのライフ・スタイルに変化をもたらし,今後の本流となっていく製品だ。スマートフォンであれば,ブログ,SNS,Twitterといった日々進化を続けるネット関連サービスを快適に利用したいというユーザーの要望に答えられる。我々もその流れの中に飛び込み,傍観者ではなく,主体者として活動していく。ビジネスとしてやるからには必ず成功させる。

 そのためには,携帯電話のiモードで実践してきたような,サービス面の拡充がスマートフォン上で不可欠になる。“便利で楽しい”サービスであることがiモードの本質であり,今後もその方針を追求していく。

iモードの丸ごと移植はしない

 ただ,現状のiモードをそのままスマートフォンで展開する方法では,ユーザーの要望に答えられない。ブログやTwitterをはじめとするネット上のサービスを快適に利用できる機能が求められているからだ。

 ネット経由で情報を快適に入手するためには,スマートフォンでの表示に最適化したWebページや,ブラウザで実行するWebアプリの役割も大きくなっていくはずだ。

 ドコモマーケットでは各種のアプリを紹介するとともに,ユーザーが毎日の生活の中で便利に使えるWebページや各種サービスを紹介していく。