フレッツ・VPNワイドを使って拠点間通信を実現する際のネットワーク構築のポイントを見ていこう(図1)。

図1●フレッツ・VPNワイドによる基本的なネットワーク構成<br>フレッツ・VPNワイドの基本構成では,各拠点に一つのサブネットを払い出す。このため,各拠点は単一のLANとして構成する必要がある。
図1●フレッツ・VPNワイドによる基本的なネットワーク構成
フレッツ・VPNワイドの基本構成では,各拠点に一つのサブネットを払い出す。このため,各拠点は単一のLANとして構成する必要がある。
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 フレッツ・VPNワイドのアドレス配布方式には,「LAN型払い出し」と「端末型払い出し」の2種類がある。LAN型払い出しでは,各拠点に1個のサブネットのアドレスを配る。拠点にLANを構築して複数の端末を収容する場合はこの方法を選択する。端末型払い出しは,1台の端末に1個のIPアドレスを配る。拠点にルーターを置かず,1台の端末を直接ONUに接続する場合に利用する。

Web経由でIPアドレスの設定が可能

 フレッツ・VPNワイドのメリットは,VPNの開設や廃止,設定内容やプランの変更などをWebで申し込めることである。NTT東西は,この機能のことを「カスタマ・コントロール」と呼んでいる。申し込みを受け付けるWebページは「サービス申込受付ページ」と呼び,直接インターネットからはアクセスできないフレッツ・スクウェアのサイトにある。実際にこのページにアクセスして申し込みができるのは,VPN管理者拠点に限られる。

 サービス申込受付ページですべての申し込みが可能というわけではなく,様々な制約がある。例えば,新規VPN開設(最初に管理者拠点を設ける),既存VPNの廃止(VPNを廃止してサービス利用を止める),プラン変更,VPN管理者変更はいずれも,プラン10とプラン30に限られる。プラン100以上でこれらの申し込みをする場合には,書面の提出が必要となる。

 各拠点のIPアドレスとサブネット・マスク,ユーザーIDやパスワードなどの情報(アカウント情報)は,どのプランでもサービス申込受付ページで変更可能である。逆に,オプション(東西接続サービスとセンタ回線接続サービス)については,プランの種類にかかわらず書面で申し込まなければならない。

 最後にフレッツ・VPNワイドについて,(1)料金,(2)適用規模・地域,(3)品質・機能,(4)サポート──の四つの観点からまとめておこう(図2)。

図2●フレッツ・VPNワイドを利用する際のポイント
図2●フレッツ・VPNワイドを利用する際のポイント

 (1)料金については,1拠点当たり月額1890円と安い。ただし,東西間で拠点を接続するにはオプション料金が必要となり,他のサービスよりも割高になるケースもあり得る。

 (2)適用規模・地域に関しては,最大拠点数に応じて5種類のプランがあり,最大1000拠点で利用できる。ただし,プラン10とプラン30の利用が多く,中小規模のユーザーに向いていることが分かる。

 (3)品質・機能については,ベストエフォートのIP通信であり,ブロードバンド回線では工事による計画停止や瞬断があるため,ルーターの自動切り替え機能などを利用したバックアップ手段を講じる必要がある。

 (4)サポートについては,基本的にはユーザーがルーターを購入したり,Web経由で様々な情報を設定したりする。そうした手間を省きたい場合,コストはかかるが,インテグレータやシステム・ベンターに設定を依頼することになる。