1拠点当たりの月額利用料については,第1回で簡単に触れたが,実際に拠点間を接続する企業ネットワークの構築にどのくらいのコストがかかるのか,5拠点を接続するという簡単なケースを例に試算してみよう。この例では,アクセス回線にフレッツ 光ネクストを利用することを考える。比較対象として取り上げるのは,NTTコミュニケーションズが提供するエントリー型IP-VPNサービス「Group-VPN」と,インターネットVPN「OCNビジネス パックVPN」である(表1)。

表1●フレッツ・VPNワイドと他のエントリー型VPNとの概算コスト比較
アクセス回線にフレッツ光ネクストを使い,5拠点を接続する場合の月額料金と初期費用を比較した。各種割引だけは蒸無視している。
[画像のクリックで拡大表示]
表1●フレッツ・VPNワイドと他のエントリー型VPNとの概算コスト比較<br>アクセス回線にフレッツ光ネクストを使い,5拠点を接続する場合の月額料金と初期費用を比較した。各種割引だけは蒸無視している。

 フレッツ・VPNワイドで5拠点を利用する場合,フレッツ 光ネクストの利用料を含め,総額で3万6750円となる。これに対し,同様の構成でのGroup-VPNとOCNビジネス パックVPNの月額料金は,それぞれ6万4050円と5万6857.5円となる。このように月額料金を比較すると,フレッツ・VPNワイドの方が圧倒的に安いことが分かる。

初期コストや東西接続が高くつく

 ただし,Group-VPNとOCNビジネス パックVPNは,保守や設定なども含めたルーターのレンタル料込みの料金である。NTTコミュニケーションズによると,ルーターの設定や管理の手間を省きたいため,月額料金が高くついても同社のサービスを選んだというユーザーが多いという。また,初期コストについては,ユーザーがルーターを購入する必要があるフレッツ・VPNワイドの方が高くなる。

 NTT東西エリアにまたがって拠点間接続するケースでも,フレッツ・VPNワイドが高くなるケースがある(図1)。NTT東日本とNTT西日本はそれぞれ個別にNGNを構築しており,その間で通信するにはオプション・サービスの料金をNTT東西両方に支払う必要がある。このため,フレッツ・VPNワイドの料金が他のサービスよりも高くなる可能性がある。前述と同様の5拠点のモデルを考えると,アクセス回線を除いた料金は,フレッツ・VPNワイドが7万2450円であるのに対し,Group-VPNが3万6750円と安くなる

図1●東西間をまたがるVPNではフレッツ・VPNワイドが高くつくケースがある<br>フレッツ・VPNワイドでNTT東西エリアを越えてVPNを構成する場合,オプションの「東西接続サービス」を使う必要がある。このため,他のエントリー型VPNサービスより料金が高くなるケースがある。
図1●東西間をまたがるVPNではフレッツ・VPNワイドが高くつくケースがある
フレッツ・VPNワイドでNTT東西エリアを越えてVPNを構成する場合,オプションの「東西接続サービス」を使う必要がある。このため,他のエントリー型VPNサービスより料金が高くなるケースがある。
[画像のクリックで拡大表示]

 以上の比較結果から,とにかく月額料金を安く抑えたいというユーザーはフレッツ・VPNワイドを選ぶべきだろう。ただし,東西接続が必要になる場合,ルーターの設定・管理の手間を省きたい場合,初期費用を低くしたい場合には,他のエントリー型IP-VPNサービスなどを視野に入れる必要がありそうだ。