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国際会計基準(IFRS)

中澤進の「IFRS動向を読む」

ITpro

米SECによるIFRS声明の意味

2010/03/11

ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 米SEC(証券取引委員会)は2010年2月24日、米国上場企業へのIFRS(国際会計基準)の適用を全員一致で2015年以降にすると発表した。

 SECが2008年11月に発表したロードマップ案では、IFRSの適用の可否を2011年に正式決定し、適用する場合は2014年から段階的に進めるとしていた。今回の声明では、適用可否を2011年に決めるという日程は変えていないが、2009年12月以降に米国上場企業に認めていた早期適用は撤回している。

 SECによる今回の声明に対して、「米国におけるIFRS導入の決断を遅らせた」とみて懸念の声も上がっている。ただ、基本的にIFRS導入へ向けた後ろ向きのものではなく、今までの方向性を大きく変える要素はないと筆者は考えている。

6項目のワークプランを提示

 実際、今回の声明では単一の高品質でグローバルな会計基準という目標の達成に向けたSECの長期的確約を再確認し、米国基準とIFRSのコンバージェンス(収斂)を引き続き支持することも表明している。

 メアリー・シャピロSEC議長は声明に関するプレゼンテーションの中で、「議論の始まりに過ぎず、終わりではない」と語った。標準作りに対する強い意思がうかがえる。他方、IFRSを米国の財務報告制度に取り込むためには、非常に多くの作業を伴うとも言っている。

 振り返れば、シャピロ議長はSEC議長就任前の2009年1月15日に行われた上院での確認の際に、一つの高品質な会計基準の適用は認めているが、前委員長(クリストファー・コックス氏)の公表したIFRSへのロードマップに拘束されないと発言した。その時に理由として、(1)IFRSへの移行にコストがかかりすぎる、(2)移行の日程が急すぎる、(3)IASB(国際会計基準審議会)の独立性に疑問がある、(4)IFRSは米国基準のように詳細に規定しておらず、信頼性に疑問がある、などを挙げた。

 2008年11月にロードマップを発表して以来、SECには各界から200以上のコメントが寄せられたという。今回の声明文では、このことを引き合いに出して、IFRSを米国の財務報告制度に取り込むに当たり、米国の投資家や証券市場にとって何を解決していくことが望ましいかを熟考しなければならないとしている。

 加えて、移行に際し十分な時間が必要な一方、判断に必要な情報が不十分であることも指摘している。「アドプション(適用)へ向けた作業にスピード感が欠けている、課題の認識も甘い」と、関係者に暗にはっぱをかけているようにも見受けられる。

 今後の作業をより具体化するために、今回の声明ではSECスタッフによる「ワークプラン」を実行することを発表している。この計画はIFRSの基準に関する2項目と、IFRSへの移行に関する4項目の計6項目から成る。

  1. 米国報告基準としてのIFRSの開発と網羅性および十分な適用可能性
  2. 基準開発の独立性(IASBの基準設定機関としての独立性)
  3. IFRSに関する投資家の理解および教育
  4. 会計基準変更によって生じる米国規制環境への影響
  5. 会計システムの再構築、契約書の変更、企業統治にかかわる規制、訴訟にかかわる規定対応などを含めた、大規模および小規模企業への影響
  6. 人的資源の整備(投資家、作成者、規制当局等の教育・訓練および監査人の体制など)

 SECはこのワークプランに関する検討の経過を2010年10月までに報告し、その後も定期的に公表していくとしている。 その上で、2011年にIFRS導入について最終判断をするとしている。

 前述の各関係者からのコメントでは、移行のために4〜5年は必要としている。これが最速で2015年の導入という声明につながっている。シャピロ委員長はプレゼンテーションの中で、FASB(米国財務会計基準審議会)とIASBのコンバージェンス作業の重要性にも触れている。まずは、この作業が予定通り2011年に完成されなければならないと話している。

>>会計基準の国際化の流れは変わらず
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