2010年1月21日、22日とJANOG25が開催されました。今回の開催地は新潟です。冬の新潟ということで「雪」を楽しみにいざ出発。前日夜まで予定が入っていたので、夜9時ごろ東京発の新幹線で新潟に向かいました。到着したのは深夜でしたが、地元新潟の方々は温かく迎えてくれました。その日、夜更けまでお供させてもらったのはいうまでもありません。

 初日の21日。しんしんと積もった雪を期待して外に出ると、とても温かく、雪なんてどこにもありません。雪ではなく雨が降っていました。しかし、JANOG25の会場では「巨大小林幸子」が歓迎してくれ、私の中でのJANOGの盛り上がりはこの時点で早くも最高潮を迎えました(写真1)。

写真1●JANOG会場にあった巨大小林幸子像
写真1●JANOG会場にあった巨大小林幸子像
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JANOG25の三つのポイント

 2日間にわたるプログラムを全体的に見てみると、いくつかの傾向が見えてきます。

1. IPv4枯渇/IPv6の話題が二つしかなかった

 IPv4アドレスの残量が10%を切ったという話題は、最近のトピックの一つです。当然これを契機にIPv6への移行という話題も上がります。ただ、JANOGなどの実際の現場を見ているエンジニアの集合からすれば、「枯渇だ!」「移行推進だ!」と言っている段階では既にありません。「現実的な運用に対する解」が必要なのだと思います。

 そういった意味で、今回のJANOGでは、「IPv6の設計と運用」と「IPv6/IPv4時代のセキュリティとルーティング」の二つの話題が上がってきたのは至極当然の状況といえるでしょう(IPv4/IPv6ではなくIPv6/IPv4とIPv6が最初にきているのを見て、非常に意図的なものを感じるのは私だけでしょうか…)。逆に言うと、これらをきちんと考慮しておかなくては、今後のネットワーク運用はままならなくなるともいえるでしょう。

2. ツールの世界

 傾向というよりも単純に私の興味ですが、「tools2」というセッションがちょっと気になりました。ネットワークの運用では、統計情報の集計やルーターの設定の生成、監視などで様々なツールが使われます。実は、これらはサービス事業者が独自に作成し、それぞれのサービスに合わせてカスタマイズしている部分があります。門外不出な情報が結構あるわけです。とはいえ、これらのツールをうまく使いこなすことが効率の良いネットワーク運用への第一歩であることは間違いありません。そのために日々、情報収集と試行錯誤が続きます。

 そもそも、このようなツールの使い方は汎用的な部分が多いはずです。つまり、共有すべき部分は多いのです。そういう意味で、このセッションに興味を持ちました。セッションの結果を受けて、個別に会合を持つという話もちらりと聞こえてきています。やはり、みなさん苦労しているようです。

3. やっぱりクラウド

 時代の流れはやはり「クラウド」。JANOGでもクラウドのセッションが2日目の午前ぶち抜きで開催されました。クラウドといっても、この言葉自体は概念に近いものです。JANOGのような現場で運用する人々の中では、基本的に「仮想化技術」として語られています。以下では、この話題を扱った「クラウドアワー」に絞って少し考えてみましょう。