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 STPの拡張プロトコルについての設問だ。STPではループによるブロードキャスト・ストームを防ぐだけでなく,障害発生時にダイナミックに通信経路を切り替えることができる。ところが,この経路を変更には,30~50秒の時間が必要だ。この間は通信が途絶えてしまうことになる。

 この弱点を補うために用意されたSTPの拡張プロトコルが,「RSTP」だ。RSTPを使うと,ブロッキング・ポートからフォワーディング・ポートへの切り替わり時間を数秒~10数秒程度にまで短くできる。

 STPでは,一度ツリー構造が確立した後はルート・ブリッジのみがBPDUを送信していたが,RSTPではすべてのスイッチがBPDUを送信する。このため,STPよりもスイッチ同士が素早く情報をやりとりして,ポート・ロールを決めることが可能だ。

 また,障害発生やネットワークの変化に素早く対応するため,RSTPではポート・ロールの種類がSTPとは異なる。具体的には,「代替ポート」,「バックアップ・ポート」の二つが加わる(図1)。

図1●STPとRSTPにおけるポートの役割の違い<br>RSTPでは,「代替ポート」や「バックアップ・ポート」というポートを導入した。なお,RSTPではポートの状態も変更され,STPの「ブロッキング・ポート」と「リスニング・ポート」の状態を,RSTPではまとめて「ディスカーディング・ポート」と呼ぶ。
図1●STPとRSTPにおけるポートの役割の違い
RSTPでは,「代替ポート」や「バックアップ・ポート」というポートを導入した。なお,RSTPではポートの状態も変更され,STPの「ブロッキング・ポート」と「リスニング・ポート」の状態を,RSTPではまとめて「ディスカーディング・ポート」と呼ぶ。
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 代替ポートとは,ルート・ポートの次にルート・パス・コストが小さく,障害発生時にはルート・ポートの代わりになる。代表ポートの次に,接続先のスイッチのルート・パス・コストが小さく,代表ポートの代わりとなるのがバックアップ・ポートだ。

 この問題では,スイッチBのFa0/1ポートの役割が問われている。パス・コストの合計値を見て,RSTPのポート・ロールをあてはめていけばよい。すると,Fa0/1はスイッチB中で2番目にルート・パス・コストが小さいので,代替ポートだとわかる。よって,解答は選択肢cになる。

 なお,RSTPで上記以外のポートは「ディセーブル・ポート」と呼ばれる。

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スイッチング編 第3回 STPの拡張