ネットワークに接続可能な体重計や血圧計が相次いで登場している。健康に関する各種の情報も、ネット上で管理できるようになる。どんな健康管理機器でも同じように通信できように、国際的な標準規格作りも進む。医療の価値観も、「病気ありき」から「健康な生活ありき」へと変わっていく。

 ネットワークに接続できる体重計や血圧計は、エー・アンド・デイ、オムロンヘルスケア、タニタといった健康管理機器メーカーが開発・販売を始めている。これらの健康管理機器が発するデータを扱うための医療用パソコンやソフトなども、パナソニックや東芝などのIT機器メーカーが開発・販売している。

 これらの機器を利用すると、一般家庭での健康管理が容易になる。例えば体重計や血圧計で計測したデータが毎日、近距離通信の仕組みであるBluetoothを使ってパソコンに送信される。データはパソコンで管理しても良いし、ネット上にあるサーバーで一元管理することもできる。データを医師が分析し、異常があれば来院をうながしたり、発症を予防するための方法を知らせるといったサービスが期待できる。

 帝京大学医学部付属の麻酔科学講座を受け持ち、同大学・本部情報システム部の澤智博部長は、「これまでの医療は、病気にかかったことを起点に病院に行ったり治療を受けたりと“病気中心”で、結果として医師の発言力が強かった。通信機能付きの健康管理機器が普及すれば、自宅で自らの健康を管理できるし、データに基づく予測・予防が可能になる。健康なライフスタイルありきへと価値観が変わる」と話す。

写真1●NTTが進めている実証実験「自治体遠隔疾病管理ソリューション」でも、コンティニュア対応機器が使われている
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 既に「自治体遠隔疾病管理ソリューション」という名称の実証実験が、NTTによって宮城県栗原市で進められている。パソコンの代わりにNTT東日本が提供するテレビ電話端末「フレッツフォン」を使い、血圧計や体重計からのデータを無線経由で受信する(写真1)。

 データを受信したフレッツフォンは、NTTが構築したサーバーにデータを転送。医師がそれを確認し、異常が見られる場合はフレッツフォンを使って住民と話をする。医療機関が少ない地域における住民の健康管理や予防に役立つと期待されている。