米Microsoftがスマートフォン向け次期OS「Windows Phone 7 Series」を発表した際のビデオを繰り返し見たところ、最後の最後で最もばかげた事態が起きたことに気付いた。具体的な名前は伏せるが、ある報道メディアの女性記者が「モバイル市場でほとんどのライバルが自社製OSを無償提供する状況で、MicrosoftはモバイルOSの有償販売をどのように続けていくつもりなのか」と質問したのだ。もし、「ライバル企業の大半がモバイルOSを無償提供している」という前提条件が事実ならば素晴らしい質問だ。ところがご存じのように、この前提がそもそも間違っている(関連記事:Microsoftの新モバイルOS「Windows Phones 7」に大興奮)。

 確かに米Googleの「Android」は無償提供されているが、同社はポストパソコン時代に登場した、好戦的な(そして独禁法に縛られる)唯一の企業である。フィンランドのNokiaは老朽化してガタのきた「Symbian」のシェアが激減したためにオープンソース化したものだ。だが実際のところ誰もSymbianなど欲しがらない(関連記事:モバイル基盤「Symbian」が完全オープンソース化、全ソースコードを公開 )。

 米Appleや米Palm、カナダResearch in Motion(RIM)という今のモバイル市場における主要ベンダーはすべて、パソコン向けOSと同じようにモバイルOSを有償販売しているか、門外不出の自社製デバイス専用OSとして他社にライセンス提供していない(つまり無償提供をしない)。

 このばかげた質問を受けたMicrosoftのCEO、Steve Ballmer氏は、お決まりの回答をした。「無料で手に入るものがあったら、本当のコストがどこで発生するかをよく確認しよう。当社のビジネス・モデルは明快かつ単純で、開発したOSを売るだけだ。(Appleなどのライバル企業のように)デバイスを売る企業もある。我々は、デバイス・メーカーにソフトウエアを売る企業だ」