IPv4枯渇対策とIPv6移行が話題になっているが、「対策したくても何から手をつけるべきかわからない」「そもそも本当に自社で対策が必要なのか判断できない」──といったユーザーも多いのではないだろうか。本書はこうした基礎知識を必要とする企業のエンジニアに向けた、IPv4枯渇対策とIPv6移行の解説書である。

 ポイントは後半の第5章にある「IPv4枯渇対策計画」だろう。システムインテグレーションやエンジニア教育を手掛けてきた筆者のノウハウを生かし、「システムで検討すべきポイント」や「移行計画の立て方」について具体的に解説している。実践的な視点でIPv4枯渇対策とIPv6移行を語っている書籍は貴重だ。現場の担当者が、IPv6移行を実行するために上司を説得する際などにも役立ちそうだ。

 前半ではIPv4枯渇対策やIPv6技術の基本についてもまとめている。ただし、この分野は変化が激しい。本書の発行日は2009年12月だが、執筆期間中に内容に変更が加わった技術や注目を浴びた技術もある。より詳細な情報が必要な場合は、本書を足がかりに別の書籍や雑誌、技術仕様の原文に当たるとよいだろう。

IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入

IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入
大元 隆志著
リックテレコム発行
2730円(税込)