今回の演習テーマは「スパニング・ツリー・プロトコル」(以下,STP)だ。最初に,「スパニング・ツリー」という言葉を理解しておこう。スパニング・ツリーとは「ループ構成のない木構造」のこと。基点(以下,ルート)となるノードから木のように枝分かれした線の先に,他のノードがつながっているイメージだ。
ネットワークがループ構成になっていると,何が問題になるのだろうか。イーサネットのネットワークでループ構成になっている個所があると,ブロードキャスト通信のフレームがいつまでも回り続ける「ブロードキャスト・ストーム」が起こる(図1)。すると,LAN内にフレームがあふれて,ネットワークがダウンしてしまうのだ。
STPでは,ブロッキング・ポートを設定することによって論理的にループのないネットワークを作る。ブロッキング・ポートとは,物理的にループ構成のあるネットワークで「通常はフレームを送信しないポート」のことだ。
どのようにツリー構成を組むかは,スイッチ同士がBPDUと呼ばれる制御フレームをやりとりすることで決まる。スイッチはBPDUで「ブリッジID」,「パス・コスト」などの情報をやりとりする(図2)。
ブリッジIDは,ツリーの基点に位置するスイッチ「ルート・ブリッジ」を決めるために使う。最もブリッジIDが小さいスイッチがルート・ブリッジになる。
ブリッジIDの長さは64ビットである。先頭から16ビットは管理者が設定する「ブリッジ・プライオリティ」,残り48ビットがそのスイッチのMACアドレスだ。
管理者が各スイッチに対して異なるブリッジ・プライオリティを設定した場合,MACアドレスの値にかかわらず,ブリッジ・プライオリティが最も小さい値のスイッチがルート・ブリッジになる。
問題の図を見てみよう。最も小さいブリッジ・プライオリティは「200」で,スイッチBとスイッチCに設定されている。この場合は,二つのスイッチのうち,MACアドレスが小さいスイッチCがルート・ブリッジに選ばれる。よって,問題の解答は選択肢cとなる。
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スイッチング編 第2回 STPとは