2009年まで日経ソリューションビジネス(09年末に休刊)で11回にわたって掲載してきた、「パートナー満足度調査」の最新の結果を報告する。

 ハードやソフト、サービスを企業に販売するシステムインテグレータが満足するのは一体、どのメーカーの製品・サービスなのか。IT関連商材15分野について、アンケート調査を実施し、1076件の有効回答を得た(調査概要は文末の囲み記事参照)。

 前回、4部門で首位だった日立製作所が9部門を制した()。前回のブレードサーバーやストレージ、ネットワーク/システム運用管理ソフトに加え、新たに調査対象としたシンクライアントなどで、パートナー企業から高い支持を集めた。

図●今後扱ってみたい商材ランキングと総合満足度が首位のメーカー/通信事業者
図●今後扱ってみたい商材ランキングと総合満足度が首位のメーカー/通信事業者
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 日立に次いで満足度が高かったのは富士通だ。ERP(統合基幹業務システム)など基幹業務ソフトで首位になったほか、同点を含め6部門で2位に入った。

 日立の井上雅行 情報・通信グループゼネラルマーケットビジネス統括本部統括本部長は、「2009年2月に立ち上げたプラットフォームソリューション事業部の活動の成果だ」と話す。

 プラットフォームソリューション事業部は、個別の案件ごとにパートナー企業を支援する組織である。中心になるのは、実際のプロジェクトに携わった経験を持つ450人のエンジニアだ。

 サーバーやストレージ、ミドルウエアなどを含め、全基盤製品についての質問や問い合わせに答える。個別のパートナー企業の商材やソリューションの開発を支援することもあるという。

 同時に、主要な30社のパートナー企業に対しては、日立のエンジニアや営業担当者を企業内に常駐させるようにした。パートナー企業と接する時間は2倍以上に増え、「パートナー企業の担当者は確実に相談しやすくなったはずだ」(井上統括本部長)と言う。

 日立の場合、パートナー企業の中心である系列企業からの評価が高かったことも、全体の満足度の高さにつながった一因である。

 富士通が好調だったのにも理由がある。「PCサーバーの『PRIMERGY』を前面に打ち出した販売支援策が評価されたのだろう」と村上茂樹パートナービジネス本部本部長は語る。

 同社は09年に、「バスケット方式」と呼ぶ営業支援策を実施。仮想化やコスト削減といったテーマごとに、PRIMERGYの機種やストレージ、アプリケーションソフトなどの組み合わせを用意した。売りやすい製品やソリューションが何かを考えた施策が、パートナー企業の琴線に触れたようだ。

 さらに富士通は、個々のテーマや組み合わせについて、顧客のシステム導入状況に合わせた提案書のひな型や、競合製品との比較資料を準備した。営業担当者に対する教育の内容もテーマごとに見直し、「売るためのノウハウを結集した。パートナーからも好評だ」と村上本部長は自信を見せる。