今回は、「フィードバックを忘れるな!」と題して、個人およびチームとしての成果を継続的に出すためには欠かせない、フィードバックのポイントを解説しよう。

 フィードバックとは、ある活動の成果や評価、影響などの情報を、その活動を行っている相手に伝えることを指す。フィードバックの目的は、相手の気づきを促すことで、結果的に相手の活動の方向性や活動内容を修正することである。

 早速,前回のケーススタディの続きからスタートしよう。

 情報システム室主任の山田さとしがリーダーを務める,あけぼの産業の次期基幹システム再構築プロジェクト。役員や各部門の部長を対象にプロジェクトの目的や活動内容、今後の活動計画などを説明した「第1回中間報告会」も無事に終了し、山田は、報告会で出た意見をまとめる作業に取りかかっていた。そこに、上司である経営企画部長から呼び出しの電話があり、山田は経営企画部長のデスクに向かった。

 部長のデスクにて。

部長:「報告会ご苦労様でした。報告会ではいろんな意見が出ていたね」

山田:「今、意見をとりまとめているところです。まとめた後で、今後の進め方を検討するつもりです」

部長:「実は報告会の場とは別に、役員からはいろいろ言われていてね」

山田:「報告会では役員の方々はそんなに意見を言われていませんでしたが」

部長:「いろんな参加者がいると、その場では言いにくいこともあるよ。経営状態に関する意見なんて、あまり大っぴらには言えないだろう?」

山田:「そうですね。となると、部長クラスについても、当日は言いたいことが言えなかった人がいそうだな・・・。各メンバーから部長クラスに個別に意見を聞いておいたほうがよさそうですね」

部長:「そうだね。そのうえで一度フィードバック・ミーティングを開いた方がいい」

山田:「フィードバック・ミーティングですか」

部長:「役員や部長クラスの意見、つまりフィードバックをメンバーで共有するミーティングだよ。役員の意見は私から話す。できるだけ早く開いてくれないか」

山田:「わかりました」

 デスクに戻った山田は、各メンバーに部長へのヒアリングを依頼すると、フィードバック・ミーティングの準備に取りかかった。